#3 診せた
ということが今朝、あった。
あの後、母が起こしてきた父にも同様の説明をしたところ、とりあえず医者に行こう、ということに。
俺はちん子を自分の部屋からエスコートしてくると、両親に見せた。これが息子の愚息だ、と。自分のモノを見せているはずなのに、まるでそんな気はしない。恥ずかしいような恥ずかしくないような、変な気分だった。
父の車に乗り、少し遠くの、日曜日でも空いている病院へ向かう。
その車中で、こうして少し落ち着いた俺は、思い出すでもなく、ぼんやり朝からの出来事を考えていたのであった。
両親は押し黙ったままで、車の中は重苦しい雰囲気に満たされている。いまだに夢なんじゃないかという念は消えそうにない。手の中にあるちん子だけが、これが夢なんかじゃないと主張しているようだった。
悪い病気とかだったらどうしよう、と考えかけて、どう考えても悪い病気でしかない状況にむしろ笑えてきた。
朝起きたらチ○コがもげていた。別に痛みや傷があるわけでもない。両親とともに病院へ。手の中には裸(二重の意味で)のちん子。なんだこれ。なんで俺はちん子を剥き身で持ってきたんだ? せめて袋に入れるとかしないと、夜のおもちゃを手に病院に参じた図が生まれてしまう。かかる医者は頭の医者に違いない。
結局、病院に着くまで、誰も何も発することはなかった。手の中で、強く握りすぎたちん子だけがハッスルしていた。……これどうやって病院に入ればいいんですか。
♂
「えーっと。つまり、朝起きると陰茎がもげてしまっていた、ということですか」
女の先生だったらどうしよう、と思っていたが、普通に男の先生だった。銀縁の眼鏡が神経質そうな感じを醸している。歳はうちの父親と同じくらいだろうか。
ノーマル・ちん子を医者に手渡し、股間を見せて説明した。わざわざはたから見なくとも情けない気持ちになったが、医者の意見を仰げるならば、と我慢した。というかここに来て、俺のちん子はもとの場所に帰ってくるのかという当たり前すぎる疑問に行き着いた。
医者の質問に、はい、と首肯して、聞く。
「あの、先生。俺のチ○コはもとに戻るんでしょうか」
「…………さあ……? どうなん、ですかね?」
診療室。
いるのは先生と、若い看護師、それから両親と俺。この場にいる誰もが途方に暮れていた。
「お、俺のチ○コは、元に戻らないんですか!?」
今更、ここに来てようやく、やっと認識が現実に追いついたのだ。俺は思わず叫んでいた。
生まれた時からずっと一緒だったちん子と、今生の別れになるかもしれない。そう思うと、必死にならずにはいられなかった。
……言うな。わかってる←
ちなみにここでジャンルを振り返ってみますと、コメディじゃなくてSFなんですね。こんなに「ちん子」連呼してるSFって今までにありましたか?
一話千文字なのに、各話十回ずつくらい言ってる気がします……
平均すると百文字に一回ですね。
……頭オカシインジャネーノ。