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勇者  作者: XLT-ゾレト-
1/2

一蹴 勇者

幻野大地

「シノブさん。僕のドリブル、どうです?」

「どうって。ただ歩いてるだけじゃん」

「なら止めてみて下さい」

 と自信あり気な幻野くんだが、彼は本当にボールを足元に保有しながら歩いているだけだ。これならば止めるのは楽勝

 だと思っていたが、何故だか止められない。というか、取れない。

「あれ⁉ くそ、おかしいな‼」

「いえいえ。これが僕の編み出したドリブル技術、悠々白書です」

「悠々白書?」

「はい。これ、ただ歩いているように見えて、実は色々細工してます。ボールに回転を掛けたり浮かせたり足の上に置いてみたり隠したりね」

「歩きながら、取りづらくなる工夫を」

 まるで手品、いや魔法ではないか。

「シノブさんにも出来ると思いますよ」

「マジ⁉ 教えて、幻野くん‼」

「はい」

 幻野くんは笑顔でシノブにレクチャーする。この二人の絡みは新鮮な気もする。


「さすが副キャプテン。もうコツを掴みましたね」

「えへへー、まあ私サッカーの神様だからねえ」

「ええ、その称号に相応しい才気ある女性です」

 幻野くんは真顔でそんなことを言うものだから、シノブの顔は熱くなる。いやいや、私には平くんという彼氏が、とシノブは我に返る。

「シノブさんのドリブル、殺魔式ドリブル術でしたっけ?」

「ああ、うん。電光石火と疾風迅雷」

「それを一纏めに天衣無縫と言います。そして、天衣無縫と悠々白書を掛け合わせた究極のドリブル技術を」

 シノブは固唾を吞む。一体何だというのだろうか。格好良い最終奥義名を期待するシノブだが、

「勇者と呼びます」

 こうして勇者シノブのドラゴンクエストが始まる。いや、勇者のポジションは幻野くんの方が相応しいだろう。そこまで格好良くもないし。

「良いですよね、勇者。僕も昨日考えた時に興奮して」

「やっぱ君のネーミング⁉ じゃないかと思っていたよ‼」

 多少天然な幻野くんに呆れながらも、しかし新技習得により力を増したシノブは、覚えた技の再現度を高めていく。絶対に誰にも止められたくないのだから。サカ神シノブのマックススピードを。加速して初めて行けるのだ。サカ神シノブはサカ神シノブの先へ。

サカ神シノブ

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