Ep37: 裏切りの真相(絆の試練)
星見小学校は春休み前の慌ただしい時期を迎えていた。
前日に校庭の体育倉庫が壊され、「星見キッズ、見てろ」というメモが見つかった事件の調査を続けていた。シュウとタクミの距離は近づいたまま、チームの絆も回復しつつあったが、内部犯行の可能性が浮上していた。
朝、教室で星見キッズは集まり、調査の進捗を確認していた。
シュウがノートに記録を見直しながら言った。
「昨日見つけた足跡…。靴底のパターンが一人のものだった。内部の犯行だと思う」
タクミがタブレットで撮影した足跡の写真を見せた。
「シュウ、このパターン、クラスの誰かと同じだよね…」
カナエが冷静に分析した。
「シュウ、リナが言ってたけど、靴底のパターン、クラスの男子の誰かと一致する可能性が高い。調べてみよう」
リナがスケッチブックを手に頷いた。
「うん…。昨日、スケッチした靴底、クラスの男子の靴と比べてみる…」
ケンタが少し緊張した様子で笑顔を取り繕った。
「シュウ、僕も手伝うよ。早く解決しよう!」
シュウはケンタの言葉に感謝しつつ、調査を始めた。
「ありがとう、ケンタ。星見キッズで真相を突き止めよう」
星見キッズはクラスの男子の靴をさりげなく確認した。
シュウが靴底のパターンを観察し、リナのスケッチと照らし合わせた。
すると、ケンタの靴底が完全に一致した。
「…! このパターン…。ケンタの靴と同じだ…」
シュウが驚きを隠しながら呟くと、タクミが不安そうに言った。
「シュウ、ケンタが…? でも、なんで…?」
カナエが冷静に提案した。
「シュウ、トリックを確認しよう。ケンタがやった証拠が他にもあるはず」星見キッズは校庭に戻り、体育倉庫の周辺を再調査した。
シュウが足跡をたどると、倉庫の裏に隠されたバットの一部が見つかった。リナがスケッチを手に気づいた。
「シュウ、このバット…。壊れた部分が昨日見つけたものと同じ。ケンタが隠したんだ…」
タクミがタブレットで足跡の向きを分析した。
「シュウ、足跡、倉庫の裏に続いてる…。ケンタがここを通った証拠だ…」
カナエがメモを手に、シュウに確認した。
「シュウ、メモの字、ケンタの筆跡と似てる。クラスの宿題ノートで見たことある…」
シュウは証拠をまとめ、トリックを解明した。
「ケンタが倉庫を壊し、足跡を複数に見せかけて混乱させた。メモで僕たちを挑発して…。犯人はケンタだ…」
トリック解明はスムーズに終わり、星見キッズは教室に戻ってケンタと向き合うことにした。
シュウが静かにケンタに声をかけた。
「ケンタ…。話がある。体育倉庫の件、君がやったよね?」
ケンタは一瞬目を逸らし、観念したように呟いた。
「…シュウ、ごめん…。僕だ…」
タクミが驚き、声を上げた。
「ケンタ、なんで…? 僕たち、星見キッズなのに…」
カナエが冷静に尋ねた。
「ケンタ、理由を教えて。星見キッズを挑発するなんて…」
リナがスケッチブックを抱きしめ、悲しそうに言った。
「ケンタ…。なんで…?」
ケンタは目を伏せ、ゆっくりと話し始めた。
「シュウ…。実は、最近、星見キッズに縛られてる感じがしてた。シュウとタクミが仲良くしてて、カナエとリナも一緒にいて…。僕、早いところ抜けて自由になりたかったんだ…。でも、ただ抜けるだけじゃ目立たないから、君たちを困らせて、自分から外れる口実を作ろうと思って…」
シュウが驚き、ケンタを見つめた。
「ケンタ…。そんな理由で…?」
ケンタが話を続けた。
「シュウ、ごめん…。僕、身勝手だった。星見キッズにいると責任が重くて…。倉庫を壊して、メモを置いたのは、君たちを混乱させて、僕が悪者になるきっかけにしたかっただけなんだ…。本当にごめん…」
タクミが涙を浮かべ、ケンタに近づいた。
「ケンタ…。僕、ケンタのこと、仲間だと思ってたのに…」
カナエが静かに言った。
「ケンタ、自由を求めるなら、正直に言えばよかったのに…。裏切るなんて…」
リナがスケッチを手に、悲しそうに呟いた。
「ケンタ…。私たち、仲間なのに…」
シュウはケンタの言葉に胸が締め付けられた。ケンタの身勝手な動機に怒りと悲しみが交錯し、星見キッズとしての信頼が揺らいだことを感じていた。
「ケンタ…。君の気持ちは分かる。でも、星見キッズを困らせてまで抜けたいなんて、許せない。チームの絆を壊したんだ…。君には星見キッズを辞めてもらう」
ケンタが涙をこぼし、頭を下げた。
「シュウ…。みんな…。ごめん。僕、わかった…。星見キッズ、辞める…」
ケンタは教室を出て行き、星見キッズは重い空気の中で立ち尽くした。
シュウがノートを手に、呟いた。
「ケンタ…。僕ももっと気にかけるべきだった…。でも、星見キッズ、守るよ…」
タクミがシュウの手を握り、慰めた。
「シュウ、辛いよね…。でも、僕、シュウを支えるよ…」
しかし、カナエが突然声を荒げた。
「シュウ、ちょっと待って! ケンタを辞めさせるなんて、やりすぎじゃない? 彼だって悩んでたんだよ!」
シュウが驚き、カナエを見つめた。
「カナエ…。でも、ケンタは僕たちを裏切ったんだ。星見キッズの信頼を壊したんだよ…」
カナエがさらに声を張り上げた。
「シュウ、それは分かるけど、もっと話し合うべきだった! ケンタの気持ち、ちゃんと聞いてあげられなかった私たちにも責任があるじゃない! シュウ、いつも自分の考え押し付けて…」
リナがスケッチブックを手に、カナエに反論した。
「カナエ、違うよ! シュウは星見キッズを守るために決めたんだよ! ケンタが身勝手だったのは事実だもん…」
カナエがリナを睨んだ。
「リナ、シュウの肩ばかり持つんだから! いつもそうやって、シュウの言うことだけ聞いて…。私たちの意見だって大事でしょ!」
シュウが声を荒げて割って入った。
「カナエ、リナ、落ち着いて! 僕だって辛いんだ! ケンタを辞めさせるのは、チームを守るためだよ…。でも、カナエの言う通り、もっと話し合えたかもしれない…」
タクミがシュウの手を強く握り、涙ながらに言った。
「みんな、喧嘩しないで…。星見キッズ、バラバラになっちゃう…」
カナエが深呼吸し、少し落ち着いて言った。
「シュウ…。ごめん、言いすぎた。でも、ケンタのことも、私たちのことも、もっと考えてほしい…」
リナがスケッチブックを抱きしめ、呟いた。
「うん…。シュウ、カナエ、私もごめん…。星見キッズ、4人で頑張ろう…」
シュウがノートを手に、決意を新たにした。
「みんな…。ごめん。僕、もっとみんなの気持ちを考えるよ。星見キッズ、4人で続けよう…」
その夜、シュウは自宅でノートを見直していた。ケンタの裏切り、仲間との口喧嘩、星見計画の野村慎二の存在が頭を離れなかった。
「ケンタ…。チームの絆、もっと大切にしないと…。野村慎二、次の試練が来る。みんなを守らないと…」シュウは窓の外を見つめ、星見キッズの新たな試練に備えた。
(Ep37話 完)




