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Ep25:モールの真実(亀裂の深まり)



星見キッズは、星見モールで起きた刺傷事件の解決に挑んでいた。


被害者の山田美咲は命を取り留めたが、黒いフードの人物が吹き抜けで刺し、2階へ逃走する姿がカメラに映っていた。目撃者が多いにもかかわらず犯人の顔が見られていない謎と、時間的なアリバイの矛盾が事件を複雑にしていた。


犯人は山田美咲の元同僚、佐藤健太郎と判明したが、彼のアリバイが固く、トリックが解けない状況だった。シュウはタクミへの感情が抑えきれず、チームワークが乱れ、メンバー間の緊張が高まっていた。






タクミの家のリビングで作戦会議を終えた星見キッズは、モールでの調査を続けていた。


シャンデリアの反射が犯人の顔を隠したトリックと、佐藤健太郎が裏口から逃走した映像が手がかりとなったが、吹き抜けから反対側のエリアへ5分で移動する時間的な矛盾が解けていなかった。




シュウはノートに書き込みながら考えを整理した。


「佐藤健太郎が犯人なら、吹き抜けで刺した後、どうやって5分で反対側に移動したんだ…? 時間的に無理だ。トリックがもう一つあるはず」




タクミがタブレットでモールの構造図を確認し、


「シュウ、モールの時計塔があるよね。事件の時刻、カメラのタイムスタンプだけで判断してるけど…もし時計が狂ってたら?」と提案した。




「タクミ、すごい着眼点だ! 時計塔の時間がズレてたら、事件の時刻が違う可能性がある…!」シュウが目を輝かせ、タクミの手を握った。




カナエが冷たく言った。「シュウ、またタクミばっかり…。私たちも手がかり探してるんだから、ちゃんと見てよ」




「ごめん、カナエ…。タクミのアイデアがすごくて…」シュウが謝ったが、チームの空気は重かった。








星見キッズはモールの時計塔に向かった。1階の吹き抜けを見下ろす位置にある時計塔は、モール全体の時間を示すシンボルだった。




リナがスケッチブックに時計塔の位置を書きながら言った。


「この時計、事件当時のカメラ映像と比べてみるべきだね。タクミ、映像のタイムスタンプと時計塔の時刻、照合できる?」




「うん、やってみるよ、リナ!」タクミがタブレットで映像を確認した。




ケンタが時計塔の周りを調べ、「シュウ、この時計塔、裏にメンテナンス用のパネルがある。誰かが操作した跡があるよ」と報告した。




「ケンタ、よく気づいた! 時計が操作されてた可能性がある…」シュウがノートに書き込んだが、ケンタが苛立った声で言った。




「シュウ、僕のこともちゃんと見てよ。タクミばっかり褒めるの、辛いんだ…」


タクミが映像と時計塔の時刻を照合し、




「シュウ、時計塔の時間が10分進んでる! カメラのタイムスタンプも時計塔に連動してるから、事件の時刻がズレてるんだ!」と報告した。




「つまり、事件はカメラの示す時刻より10分早く起きた…。佐藤健太郎が吹き抜けで刺した後、反対側に移動する時間があったってことだ!」シュウが興奮して言った。




高木刑事が近づき、「時計塔の操作か…。確かに、それならアリバイトリックが説明できる。よく気づいたな、星見キッズ」と感心した。






シュウがノートにトリックを整理した。


「佐藤健太郎は事件前に時計塔の時間を10分進めた。吹き抜けで山田美咲さんを刺し、シャンデリアの反射で顔を隠した後、2階へ逃走。フードを脱いで裏口から反対側のエリアに移動し、店内にいたように装った。カメラのタイムスタンプがズレていたから、アリバイが成立したように見えたんだ」




「すごい…。時間をごまかすトリックだったんだね」リナがスケッチブックにトリックの流れを書き加えた。




「うん、時計塔が鍵だった。タクミ、すごいよ…」シュウがタクミに微笑んだが、カナエがため息をついた。




「シュウ、私たちも頑張ったよね? チームで解決したんだよ…」








高木刑事が佐藤健太郎を再び呼び出し、トリックを突きつけた。


「佐藤健太郎、時計塔の操作が証拠だ。アリバイは崩れた。観念しろ」




「…分かった。俺がやった。山田美咲には恨みがあった。職場で俺を侮辱し、昇進を邪魔したんだ。刺して脅すつもりだったが、殺す気はなかった…」佐藤が自供した。




「脅迫文の『次はお前が…』は誰に向けたものだ?」シュウが尋ねた。




「…山田の友人だ。彼女が苦しむように、脅しておきたかった」佐藤が目を伏せた。




高木刑事が手錠をかけ、「逮捕する。星見キッズ、今回もよくやった」とねぎらった。






事件解決後、星見キッズはタクミの家のリビングに戻った。しかし、チームの空気はさらに重くなっていた。カナエが静かに言った。


「シュウ、事件は解決したけど、私たち、ちゃんとチームとして動けてなかったよね。シュウがタクミのことばっかり気にしてたから…」




「そうだよ、シュウ。僕たち、みんなで頑張ったのに、シュウがタクミばっかり見てると、辛かったんだ…」ケンタが目を潤ませた。




リナがスケッチブックを手に呟いた。


「シュウ、タクミを大事にするのは分かるけど、私たちも星見キッズの一員だよ…」




シュウはノートを閉じ、言葉に詰まった。


「…ごめん、みんな。僕がタクミのことばかり気にして、チームワークを乱してしまった。タクミが…好きだから、感情が抑えきれなくて…」




シュウの言葉に、みんなが驚いた。


「シュウ、好きって…どういう意味?」カナエが目を丸くした。






「…タクミの無垢な笑顔とか、仕草が…好きなんだ。ショタコンって言うのかな…。自分でもどうしていいか分からなくて…」シュウが顔を赤らめて告白した。




タクミが「え、シュウ…僕のこと、そんな風に…?」と戸惑いながら呟いた。




カナエが深呼吸し、冷たく言った。


「シュウ、正直に話してくれてありがとう。でも、チームとして動くなら、感情をコントロールしてほしい。私たちはみんなで星見キッズなのに…こんなんじゃ、もう一緒にやっていけないかも」




「カナエ…」シュウが言葉を失う中、ケンタが声を上げた。




「シュウ、僕も辛かったよ。タクミのこと大事にするのは分かるけど、僕たちを無視してるみたいで…。もう限界だ…」


リナがスケッチブックを握りしめ、


「シュウ、私も…。チームワークがこんなに乱れるなら、星見キッズ、続けられないよ…」と涙目で呟いた。




タクミが「シュウ、僕…どうしたらいいか分からない…。みんながバラバラになるの、嫌だよ…」と目を潤ませた。




シュウは頭を抱え、必死に言葉を探した。


「みんな…本当にごめん。僕が悪いんだ。タクミへの気持ちを抑えられなくて、みんなを傷つけてしまった…。どうすればいいか…」




しかし、カナエが立ち上がり、「シュウ、今は距離を置いた方がいいかも。私たち、冷静にならないと…」と言い残し、リビングを出て行った。ケンタとリナも後に続き、タクミだけがシュウのそばに残った。




「シュウ…僕、シュウのこと大好きだよ。でも、みんながこんな気持ちじゃ…」タクミが涙をこらえながら呟いた。




シュウはタクミの肩を抱き、「タクミ…ごめん。僕が全部悪いんだ…」と呟いたが、チームの亀裂は深まるばかりだった。




11月も終わりが近づき、冬休みがやってくる季節になった。星見キッズは事件を解決したが、チームワークに大きな亀裂が入ったままだった。シュウはタクミへの感情と、チームの絆をどう取り戻すか、答えを見つけられないままだった。冬休みが新たな試練と向き合う時となる予感が漂っていた。






(Ep25 完)

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