中和された恐怖
授業が終わり、下校時間になった。
2人で帰り道を歩いていると人と肩がぶつかった。
「...ぁあ!すみません!」
「....。」
ぶつかった人を見るが、誰かは一切わからない。
そのまま通り過ぎようとすると、その人は即座に振り返り走ってきた。
「なっ...!?」
「乱夢ぅぅ...!!!」
「ヴァレンタイン・チョッコぉぉぉ!!」
乱夢は警戒をし、チョコで壁を作るがそいつはチョコの壁を瞬時にどろっと溶かし出てきた。
その瞬間、乱夢はとてつもない程に恐怖した。
見覚えのある顔。とても不快に思う。最低最悪な感情が心身を襲う。
やつは蔵谷快であった。
乱夢はそのまま顔面を殴られ、ぶっ飛ばされた。
「どじゃん!!」
「なーんてな。」
快は殴りかかってきたかと思うと、拳を寸前で止め顔面を大きく見せてきた。
「やぁ...久しぶりだね。六時往乱夢君。あの時以来かな...?」
快の顔をよく見ると、顔は記憶とは少し異なっていた。
何故か、顔が若い。あの時よりも。
「んん?その様子だと気づいてないようだね。私は蔵谷快。去年は色々とあったが...今、私は敵ではない。」
乱夢は戸惑いながらも問う。
「あ...あの後、何があったんだ?」
「あの後、実は...。地面に追突した際に、君が突然消失した。姿かたちも残さずに...。私は不思議に思ってね。すぐに辺りを見回した。すると、奴がいた。」
「奴って...?」
「名前はわからないが、とにかくヤバい奴だった。白い羽衣を被った、黒いパーカーのザ・強者って感じがしたよ。」
快は険しい顔をした。
「奴は私を見ると咄嗟に攻撃をしてきた。そして、私が誰です?っと問うと、知らなくていい、と一言返されただけだった。その後、私は一命を取り留めた。そして、乱夢の行方を追うことにしたんだ。」