表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/9

8.カリバ公爵邸


私は今、シャロンの家の上空にいる。もちろん不可視化の魔法を使用済みでだ。

王都の一等地に建つ豪邸は、流石公爵家といった感じだ。警備も厳重で、門衛を始めそこかしこに兵士?騎士?のような人が敷地内で目を光らせている。

私は取り敢えず人目につかないように邸宅の近くの路地に降り立ち、手早く身なりを整えた。



シャロンに『都合の良いときに私の家まで来てください。』と手紙を貰ってからというもの、私は食事処(うち)に来るお客さんからカリバ公爵令嬢の情報を集めていた。

しかし聞けども聞けども『ルドルフ殿下の婚約者』のみで詳細は無し。貴族になり社交界に出なければ彼女に関する踏み込んだ情報は入らなさそうだ。

前世の知識があれば『幼いのに聡明な公爵令嬢』として名声を欲しいままに出来そうだけど、シャロンはそういう事はしていないらしい。

まぁ、私も前世の知識はひけらかしていないので彼女も何か考えがあってのことだろう。


ちなみにゲームのシャロンの設定は、15〜17歳、典型的な悪役令嬢で性格は傲慢で難ありだけど成績は優秀、魔力量も多くて魔法操作にも長けている、だったかな?

ルドルフ殿下とは5歳の頃婚約して、それ以降は盲目的に彼を愛しているキャラだ。

そしてヒロインの登場で、エンディング間近に婚約破棄と国外追放されるはずだ。

一方アリスは真面目で前向き、健気で明るく優しいとヒロインの定番だ。

ゲームはド定番な学園生活の中で、人様の婚約者をあの手この手で無自覚誘惑し、最終的に略奪してハッピーエンドを迎える話だ。

端折ったら身も蓋もなかったわ。


私だったら婚約者や恋人、奥さんがいる人はその時点で恋愛対象外。面倒事はゴメンだ。

シャロンとは極力関わりたくないが、いい機会なので私がルドルフ殿下と関わる気は毛頭ないと伝えておいたほうが、彼女も安心するだろう。


アポ無しで公爵邸まで来たが、7歳の平民少女が保護者も連れず一人で公爵家の門を叩いて果たして開けてもらえるのだろうか?

シャロンからの手紙は、この世界の言語で書かれたものではないので招待された証明にはならないし…。

一応、手持ちの服で一番良いのを着てきたし手土産も持ってきた。とにかくダメ元で行ってみよう。

もう一度身だしなみチェックをしてから公爵邸の門前まで歩いて行くと、門衛が私に気付いて視線を向けてきた。


「あ、あの…私はアリスといいます。このお家のシャロン・カリバ様からお手紙を頂いて参上しました。お取次ぎをお願いできますか?」


「シャロンお嬢様からアリス嬢の事は伺っております。どうぞ中へお入りください」


「え、あ、はい…」


門衛の一人がニコッと笑い、私の手を優しくとって中へ誘導してくれた。

平民女児にも礼儀正しく接してくれて、正直戸惑いしかない。


(何か…予想と違ったけどまぁいっか)


門衛の人にエスコートされて公爵邸の立派な玄関前に着くと、そこには執事服を着たイケオジがビジネススマイルを浮かべて私を出迎えてくれていた。

そして、そのまま私の身柄はイケオジに引き渡された。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ