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阿修羅天世(改稿中)  作者: 鈴政千離
第二章 城和国編
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第28話 侵食する大船

 夕方頃、案の定海賊が現れ血が跋扈していた。

 海賊。簡単に言えば雑魚集団だ。

 けど、船上で暴れすぎて沈没は洒落にならない。 

 海賊船の砲台は他の部隊が潰したので、後はほぼ消化試合だと思っている。 


 にしても、楽藍が強すぎる。

 流石は第一部隊、レベルが違うな。


 海賊が現れ、楽藍は直ぐに術を展開した。

 現れたのは術者の楽藍一人によって完全統制された動く死体『殭屍キョンシー』。

 無数の死体を召喚し、それが海賊相手に襲い掛かっている。

 実際の所、殭屍キョンシー自体は大したこと無い。

 強いて言えば、死んでいるので状態異常系は無効化できる。

 他にも脳のリミッターが解除されており、半端ない膂力があるなど。


 乗客の避難も分かっていたかの様に完璧だ。

 海賊ってそんなしょっちゅうあるのかよ……。

 人が死ぬ事だって珍しい事じゃないだろうに。


「―――ッと!!」


 影に潜んでいた賊を避け、腹へと打撃を撃ち込む。


「妖気展開!!」


 膂力を底上げし、更に術による冷気圧縮を絡める。

 打撃も相手からすれば弾丸を直に食らったのと同等な衝撃を受ける。

 実戦で試したのは今が初めてだが、中々悪くない。

 率直な感想を述べれば気持ちいい。

 数も多い。貨物庫の部屋を狙ってるだろうな。

 楽藍は逃げ道を潰す為に他の秩序部隊を引き連れて海賊戦を攻めている。


 現状、他の琵琶鼓人もいる。

 ―――が、流石に雑魚とはいえ敵が多すぎて少し押されてる。


 楽藍も戻ってこないって事は、変にてこずってたりするのか?


 船の奥深く、一室へ足を運ぶ。

 資源物資が貯蔵された第一貨物庫だ。

 倉庫は第一から第八まで広くあるが、構造として全て繋がっている。

 足を止め、目を閉じ、ほんの僅か深呼吸をする。


「血の匂い……」


 間違いなく貨物庫に敵がいる……。


 琵琶鼓人らしき者達。

 その肉片が、血液を纏い残酷に地へと張り付いていた。

 異臭も凄いが、どうにも腐敗臭とは別の匂い。

 刺激臭みたく、鼻がツンとする。


 扉へ触れれば、古代の扉を思わす軋んだ音が響く。 

 ……出だしは最悪。


「……」


 不気味、恐怖、多々にある不快な感情が心臓を握りしめる。

 視線……いや、分からない。

 でも、何かがいる……。


 扉を押せばごろごろ、と血で塗られた足元に―――女の生首が転がっていた。


 動揺。ふと噛み殺せなかった小声を上げてしまい、緊張を抑え妖刀を添える。

 特に隠れる訳でもなく、堂々とその存在は立っていた。

 俺の一回りも二回りもデカい巨男。

 こちらに殺意の視線が向けられている。


「ぁ……いらっしゃい」


 途端、巨男は刀華へ刀を向けた。

 後退し避けるが、妖気斬撃が胸付近へ肉薄。


 面に妖気を纏わせ咄嗟の妖刀で防御する。

 少し、全身に響いたな。

 俺への敵意……海賊には見えないが。


「ンフッ、うぃふっ。ンフフフ、そうだねー。俺は運がいいのか、悪いのか。あぁ、聞こえてくる」


 ゲタゲタと不気味に笑いだす。

 呆気にとられた時、攻撃が繰り出されるもカウンターで弾く。


「聞こえる! 命の慟哭が……聞こえてくる!」


 高らかに、不気味に牙を出し巨男は刀華を視野に入れる。


「……マジか」


 楽藍がくれた資料に記されていた……。

 顔、体格……そして斬首された者達を見れば嫌でも合理性が見えてくる。

 何度も噂になっていた―――


「首切り殺人鬼……オッドー!!」


 彼は、オッドーは凶相に笑みする。


 遭遇するとは思いもしなかった……いや、おかしい。

 そもそも、なぜ普通に乗船できてる? 

 秩序部隊は何してんだ、サボり魔。


「んぅう? 俺がいる事が不思議かい? でも、でも、最初から船にいれば道理だろう? んふふふふっふ! 無興! 無興! 良い命名だ、『三従士』オッドー! 気に入ってる。ゲッハハハッハ、いい気分だ! その制服、特務警察……かぁ。君と遭遇するとは、あぁ今日はなんて愛すべき不運なんだ! 不快、不快、んひひひっ」


「よく笑う奴だな……」


 言動もそうだが、精神が壊れている様な、全てが狂っている……。

 一緒にいるだけで、気味が悪ぃ。


「んふふふっ、無興、無興。これはポジティブさ! 人は生きている上で、ストレスを抱えてしまう。それを肯定し捉える事で、不快という感情も高揚するのさ!」


 理路整然とばかりに笑みし、刀へと妖気展開が成される。


 笑いと同時に迫る刃を受け止めるが、あまりの威力に壁へと激突させられる。

 膂力が凄い、そして剣圧。

 古風な刀だな……普段から使いこなしたってより、その場で拾ったなまくら。

 今の衝撃で刀は崩壊している。


「ンふふふっ!!!!」


 オッドーは法具より武具を取り出す。

 鋸刃が陳列された二本の長鉈、それを両手に構える。

 見ただけで物騒な武具だ。

 人を狩りとる様な、苦痛をなるべく伴わせる為に製造された拷問武具……。


「面のいい首は好きだぁ!! ふふうッふッ!!!!」


 二丁の長鉈に対応すべく、万画一臣を双剣に変換させ妖気展開する。


 接近の攻撃を全て捌き、間合いを捉え死角から背中を斬り上げる。

 ―――手応えは感じられない。


「ンフフッ。やるねェェ~」


 防具だろう、破けた背中の衣服には鎧があった。

 それであんな俊敏に動いてたのかよ。

 筋肉の塊みたいな奴だ。

 膂力、速度は負けている……。

 こっちのアドバンテージは、術と呪、剣術、タフネスにも自信がある。


 妖気の質や量は、相手が変に誤魔化してなけりゃ同程度。


 空間を裂く一閃。

 長鉈をカウンターし、重層した斬撃と共に氷刃を振るわせる。

 嘲笑ながら、オッドーは長鉈を振り下ろしカウンター諸共圧殺させた。

 重なった斬撃の衝撃波が船を揺らし、轟轟と波が起こる。


 もう片方の腕を使い、刀華の首へと鋸刃が向けられる。


「―――ッ!!」


 頭部を引きつつ、双剣を刺突特化させたレイピアに変換させ間合いへの零距離から胸の中心点『心臓』へと穿つ。

 

「〝月詠楽華げつえいらっか〟!!」


 華が開花したかの如く、周囲全土に斬撃の衝撃波が生まれる。

 堅固な貨物庫の床を突き破り、オッドーを真下へと突き落とす。

 憑依させていた冷気斬撃が追撃の様に強襲し、胸の中心を起点にオッドーの鎧が全破壊する。

 あの一点集中攻撃で、鎧全土に衝撃を渡らせたのだ。

 

 そのまま間合いを詰め、窮追する。


 体勢が崩れている、攻めるのは―――今ッッ!!!!


「んふふ!! 無興、無興、無興、そんな程度じゃ首を斬ったって興が冷めちまうじゃねぇっかぁぁ!!」


「―――〝六華・凛纏斬〟!!」


 周囲に綺麗な雪結晶が並べられた。

 圧縮した超密度の冷気、それを斬撃化し穿つ。

 相手に鎧がない今、妖気を纏ったとしても確実に重症を負わせれる……!


 オッドーは笑いながら、凍結した腕を動かす。


「〝罹身罰剋りしんばっこく〟」


 刀華の攻撃を耐え忍び全て受け止め許容する。

 灼一臣流あらたかいっしんりゅうの神髄に類する技能。

 オッドーは長鉈に凛纏斬の威力を纏わせ振るった。


 重なった斬撃と共に刀華の腹へと鋸刃が侵入する。

 だが、浅い―――

 氷刃が長鉈で受け止められ、それを絡み捌いては生まれた隙へと腹に打撃を撃ち込む。

 冷気を纏いた氷拳に妖気衝撃波の追撃、命中したがビクともしない。


 鉄……とはいかずとも、硬い……!! 

 それに、こっちも思った以上に力が出ない……調子が悪い、変に体が重い……。


 長鉈に毒々しい深紫のオーラが纏われた。

 下ろす長鉈の攻撃を妖刀で受けきる。

 威力を完全に防いだ―――だが、追撃とする重層の斬撃が全身を刻み込んだ。


 いつの間にやら、真後ろへ弾き飛ばされ距離を取られる。

 仕切り直しだ、クソが、クソ強い。首切りのオッドー。


「痛ぇ……な」


 我流とはいかないまでも、こいつの攻撃にちょくちょく追撃がくる。

 接近で振るうと共に斬撃を重ねる事で威力が倍近く増えている。

 勝意が術でやってた事を技術にしてるのか……。

 

 確実な決めて以外なるべく術は使いたくない―――が、死人に口なし。

 振るった兵刃がその場で下ろすだけでなく、斬撃とし相対するので気合入れて防ぐ必要がある。

 しかも、斬撃一つ一つが重い。


「いい首だァッ!!」


 長鉈二丁を後ろに構え、踏み込みから首のみを限定に狙いを定める。

 刀華の妖刀、万画一臣は先の攻撃で弾き飛ばされている。

 妖刀があると無いとで、悪くもそれに依存していればポテンシャルも強く低下してしまう。



 ―――だが、


 勝意や師匠が言っていた事が、ここで生きてくる。

 それは依存。

 何かに依存し己を測っていれば、それが消えた時いずれ地獄を見る。

 勝意は一度それで格下の妖魔に敗北しかけたそうだ。

 弟子としての経験上、術を起点にまじないが無くともカバーできる。


 万が一では、法具にしまっている摂儺もあるのだ。

 頼るつもりは無いが、死への恐れはやってこない。


「〝かん〟!!」


 冷気の衝撃波、だが殺傷能力はだいぶ低い。

 相手をスタンさせたり、術の質効果上昇や冷気煙幕での奇襲に秀でている。

 

 相手の視界を誤魔化しつつ、妖気を纏わせ攻撃を捌く。

 武の心得は勝意程じゃないが、ある。

 対応できている、行ける!

 

「〝りん〟」


 〝寒〟により広がった冷気を一点に集め、冷気の斬撃が刻まれる。

 斬撃の数こそ少ないが、こちらは十二分な威力を秘めている。

 斬撃をオッドーは長鉈で砕き内部の氷エネルギーから周囲を冷気で溢れ返す。

 辛うじて刀華を認識したオッドーは刃を振り下ろした。


「殺意強すぎて、視線でもお前ぇの動きは分かりやすいんだよッ!」


 鋸刃は床を突き、その床と武具を凍結させる。

 片方の振るう長鉈を氷で防ぐが、砕かれ刃が侵入した。

 凍結も直ぐに解かれる。

 一撃でも相手が立てないレベルの衝撃を与える必要がある。

 侵入した鋸刃は削っていない以上、骨で停止している。

 クソ痛い、というか考えたくもない。

 切断されると、魔術で治癒って出来んのかな……。

 まぁ、しゃらくせえし、後で考えましょう。

 

 一瞬な沈黙の間、空いたみぞおちを膝で奥深くへ撃ち込む。

 途端、妖気である紫の衝撃波がオッドーの全身に響く。

 完全に入った、手応えもある。俺なら泣いてるな。


「ぐぇ……」


 諸に受けた衝撃がオッドーを包む。

 だが、同時に笑い始めた。


 カウンターの浅い斬撃、あれを食らってからか妖術で腹が痺れている。

 そこを根源に、麻痺が広がっているのが分かる。

 倦怠感……頭痛がする。耐えれるが、やばい。

 鼓膜も、受けた腹の感覚が消え悍ましい色と共に膨張している。


「やめられねえなァ!! えええッ!! その首、寄越せ!!!!!」


「ふぅ……。やれるもんなら、やって見ろ」


 中々、本当に硬い。急所の膝撃ちも食らった様だが、耐えている。

 凍結が解かれ、脚で万画一臣を拾い長鉈を受け止める。

 追撃の衝撃波までも受け止め、刀華の足場に巨大なクレーターが生まれた。


 兵刃を交え、追撃を警戒しつつ刃を互いに発する。

 間合いを詰め死角から更に移動し相手の視界へ移らない様、俊敏に動く。


「―――ッッ!!」


 宿す兵刃が深紫の長鉈と衝突し、空気が慟哭する。

 少しずつ、刀華は全身の倦怠感を感じていた。

 重い、体が重く熱い、しびれが来ている……。

 目まい、吐き気、寒気、睡眠不足の様に何かを過剰摂取した様な、動悸、息切れ。

 どんどん異常が増えている……。


「無興、無興、もう限界かぁ? 弱いなぁぁぁぁ、無興、無興、無興、無興!! 虚勢見せろよッッ!!!!!!!!」 


 よろけた動きにオッドーは笑みながら、脚で腹を蹴り飛ばす。

 咄嗟に構えた妖刀は遅く、長鉈が刀華の胸を天に仰いだ。 

 そのまま真下に振るい下ろす鋸刃、限界ながらも刀華は剣術で応え受け止め、そのまま直線状に巨大な氷刃を刻み込む。


「―――〝毒剋どっこく〟!!」


 全身の倦怠感が更に襲い、怯んだ一瞬にオッドーは刃を下ろした。

 刀華の身体へと、肩から右胴へ刻まれる。

 

「〝凛龍・臣群国覇しんぐんこくは〟……!!」


 冷気で創成された無数の龍。

 それが意志を持ったかのようにオッドーへかぶりつく。

 地下の貨物庫から遥か真上の空へ飛ばす。

 根性で唱えた渾身の術、これでも手応えがないのが意味不明だ。

 法具から解毒薬をいくつか飲む。

 術が絡んでいる分、期待はしない方がいいな。


 刀華は龍に乗り、外へ出ては大きく呼吸する。

 ―――毒、鼻をツンとする異臭が漂う。


「〝凛〟……!!」


 龍の背中を足場に空を渡りオッドーと交戦する。

 技の工夫で相手の膂力をカバーし、かぶり下ろした長鉈を下ろす寸前に腕を蹴り上げ、そのまま身体を回し腹へと蹴りを撃ち込む。


「……っ!!」


 龍の強襲に対し、全て避け器用に足場を利用しオッドーは接近する。


「食え―――〝凛龍〟!!」


 真上から激しい勢いで巨大な顎を開けた龍がオッドーを飲みこむ。

 ものの数秒で龍は破られ、刀華の首を狙った一閃が迫る。

 それを避け瞬きの刹那、追撃の深紫の斬撃が強襲した。

 確実に首を狙った攻撃だ。

 妖刀で受けきるが、あまりの威力に真下へと激突させられる。


「無興! 愉快、愉悦、んっふふふふふふふふっ、苦しんでる苦しんでる、んふふふふっっつ……!!」


 刀華は背なかに〝凛龍〟を備え妖刀を構える。

 しかし、脚がガクッと落下しオッドーがそれを見ては更に笑い出す。


 ゲタゲタ、ゲタゲタと嘲笑する。

 苦しむ姿、形に腹を抱え頬を染め―――ひたすらに笑う。

 少年の様に。


 怪訝に睨む暇もなく、刀華は必死に負傷した箇所を術で凍結させていた。


「苦しい、苦しい、苦しいよー、苦痛、呼吸はいつまで持つ、もう死ぬか、死んでしまうのかッ、ン? んふふふっ!! 無興、無興!! あぁあああぁッ~最高だぁあぁああ……!!」


 猛毒。目が片目まで胸に負傷した傷口から毒が侵入し、頭に昇ってきている。

 停止しているようだが、もう一撃攻撃されれば死は確定だろう。

 戦って分かった事、オッドーはそれ程強くない。

 剣術の我流も素人に毛が生えた程度で膂力に物を言わせている。

 工夫も応用も少なく力とタフネスのみ。

 こちらのポテンシャルが最初は全然だが今になって、この後半で急激に低下している。

 知ってたはずだ、事前情報……だがこんなにも……。


 昏倒しそうな身体を強引に起こす。

 ―――毒が蠢いている。

 腕は変色し凄惨な状態だ。

 斬られていないが、毒が侵入し全身を貪っている……。


「んふぃふぃッ!! ―――『殖黴付術しょくばいふじゅつ』、生まれる結果は毒! 俺の術は急速に成長、環境適応しあらゆる生ある存在を宿に繁殖するウイルス生成ッ。君に放ったこのウイルスは常に変異をし永続的な進化をする、凍結しても全ては死滅しない、そこから凍結環境に適応し、永続的に免疫がつかない……絶対死!!」


 倦怠感が消えた。


 急性疾患を感じる身体機関が消え、全身に麻痺がかかっていく。


「いい首だねぇ、ふッふっふふふ!!」

 

 鋸刃を舐め、散歩をする様に刀華の元に歩き出す。

 既に刀華の意識は朦朧と、立っているのか呼吸できているのか、瞬きも、動いた感覚、五感、心臓の鼓動、精神、作用している感覚が次第に薄れてゆく―――。


 涙が流れているのかすら、何も感じれない。

 首を斬られたとしても、痛みが無いだろう。

 オッドーは刀華に攻撃を命中させた後、耐え忍んでいた。

 自前のタフネスを活かし、刀華の身体を活発的に動かせる事により内側から程よい熱を噴出させウイルスも増殖した。


「お前の首ぃいいいいいいいッッッ!! 貰うぞぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおッッッッッッっ!!!!!!」


 摂儺が動き、法具から出ようと振動し始める。

 首を定め鋸刃を振り下ろそうとした時―――オッドーの刃を一人の少女が受け止める。 

 英断に、動揺したオッドーの胸へと刺突するが、後退し距離を取った。


 しかし、少し掠ったとは言え強い衝撃を覚える。

 威力が高くない、しかし苦痛を伴う新感覚な攻撃だ。

 オッドーの術とは違った感覚の、電流の様な麻痺が刹那に起こった。


「名前は、お嬢さん」


 目前の女、その身体を舐め回すように見てはオッドーは興奮する。 

 今すぐ、首を斬って妻に迎えたいと、酷く!! 酷く!! 

 心の深奥から早く殺したい衝動に駆られてしまう。


 こんな出会いがあるから、首切りは―――


「やめられないねぇぇぇぇええええええええ~」


 オッドーの感情の高ぶりを余所に、彼女は呟く。


「特務警察、一条楽藍。この子の……とーかのパートナー、あなたを殺しに来ました。もう十分でしょ、今度はキミが首を斬られる番だよ」


 海賊にはそれを仕切る船長がいる。

 海賊船で雑魚を殺し、中々面倒なボスを殺した所、現在に至る。


「後は私に任せといて」


 ―――と言い、札を刀華の額につけた。


「私の術を込めたお札だから、状態異常の効き目を遅延できるよ。術者殺せば解決! 死なないと思う………………たぶ、ん」


 目を細め楽藍は慎重に構える。


「無興だねええ、んふッふふふふ。無興だ、あぁ、あぁぁ、綺麗な首だ、顔だ、体だ。コレクション入り確定だ。んふふっぃ、無興、無興、なんて今日は、どうしようもなく、あぁ表現も難しいねぇぇぇッ、興、奮する!! 想像するだけで、んふふッふッふっ」


 不快に逸する事なく、楽藍は術を唱える。


「とーかも死にそうだし、ガチで行こっか! 首切り殺人鬼オッドー」

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