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「ここだと水もないな。ちょっと待って」


 私はボーッと頭がする中、知らない男性に抱き抱えられていた。

 あ、と思ったときには部屋の中にいて、ベッドにゆっくり下ろされた。男性は背中を支えて水を飲むように言うけれど、この人は誰だろう。


「これは水だよ。大丈夫。飲んでごらん」


 飲んでも大丈夫だろうか……。と顔に出ていたのか、男性は水を飲んで見せた。


「ね。大丈夫だから飲んでごらん」


 渡されたグラスを口に付けて一口飲んでみると、普通の水だったのでこくこくとゆっくり飲み干した。喉が乾いていたので体に染み渡るような感じがした。


「あの……暴れてすみませんでした。あの……あなた、は誰れすか? ……ここは?」


 うまくしゃべれないことに驚きつつ男性を見ると、きれいなといってはなんだが、男性とは思えないほどの美しいと言う形容が似合う人だった。少しふらついたが、男性がしっかり支えてくれたので座ったまま話す。


「私はルカ。ここは私の寝室だよ。あなたは?」


「私、は……? なんれここに?」


 あれ? 私は何でここにいるのかな……?

 私は首をかしげ考えるも思い出せない。


「あなたは誘拐されていたところを私たちが助けて、治療のためにここに連れてきた。何か覚えていないかな?」


「私っ……ゆうか……? え? あ……?」


 誘拐?

 ウサギさんに触れてから、私が嫌だと思うことにはフィルターが掛かったように曖昧になり、思い出せない。


「うーん、あなたは今混乱しているようだ。無理に思い出さなくていい。これからは私が守るから安心していいよ」


「守る?」


「あぁ、私が生きている限り何者にも手出しはさせない。あなたはあなたが思っているよりひどい目に合っている。もうそのような目に絶対に合わせないから安心してほしい。そういった意味の守る、だ」


「……えっと……あなたをなんとお呼びすれば……」


「私のことならルカでいい」


「ルカ……様?」


「いや、ルカでいいよ」


「ルカ……ありがとうございます」


 ルカはパパみたいに守ると言ってくれた。パパを思い出しへにゃりと笑った。


「ん。ところであなたの名前は分かるかな?」


 セナ……と答えるといつか公爵家にたどり着くかもしれないと思いさっきまで夢に見ていた前世の名前を言った。


「サクラ……だと思う」


「サクラ? 珍しい名前だが、呼びやすそうだ。ではサクラ、あなたの身元が分かるまでは不自由を強いるが危害は絶対に加えない。約束するよ」


 私は頷いた。危害?

 何のことだろう?

 私はなんとなく不安になり足を触ると足枷がしてあった。


「あっ……」


 足枷?

 不思議だけど、全く重さを感じない枷で、触るまで気づけなかった。


「これは魔力封じの枷で、サクラの身元が分からない、さらにサクラの魔力が膨大なためつけてある。すぐに取ってやりたいけれどそれができなくてすまない」


「魔力……?」


 ふと、私は自分のブレスレットを見ると、魔石がかけていた。おそらくこれが原因で、本当の魔力量が分かったのかもしれない。

 でもどうしてこのブレスレットを付けていたのか? コントロールできるようになってはずしていたはずなのに。

 んー……記憶が切り取られたように何があったのか思い出せない。


「しばらくは……身元が判明するまでは我慢してほしい。でも、自身の記憶をたどるのはゆっくりでいいよ。無理をする必要はない」


「……はい」


「そう心配そうな顔をしなくてもいい。この部屋は私しか出入りできないから危険もない。大丈夫だよ」


「えっ……あ、……」


 私しか出入りできないって……。そういえば、この部屋にはドアがない。ここに入る時、ルカは転移をした。ということは、私も自分では出入りできないってことかしら?

 考え事をしていると、ルカにたち切られた。


「ところでさっきの不思議な生物に心当たりはあるかな?」


「ウサギさん、じゃないのですか?」


「ウサギさん、とやらは私は全く知らないかな……。あのようなものは私は初めて見たよ」


「そうなんですか?」


 と言っても、私も名前は前世に則ってウサギと言ってるだけで、本当のところは知らない。


「あの者は、サクラが眠っていると知ると額に足を乗せて、サクラを目覚めさせたんだ」


「あの子達にそんな能力があるの、ですか? ……知りませんでした」


「うーん、妖精だろうか。後程調べてみよう。ひとまずは今からサクラを医療班に連れていこうと思う。サクラが目覚めるまで尽力してくれた良い先生たちだ」


 なんとなく、この部屋から出ることを不安に思うと、気づいたら唇に柔らかい感触が当たっていた。目の前の美しい男性は口に弧を描き、するのが当たり前のような顔をしてキスをしていた。


「キッ……」


「き?」


「キス!」


「ん?」


「キスは好きな人、とする、もの……では……」


 初めてのキスに私は動揺しながらルカに言ったが、私の顔は真っ赤になっているはず。


「ん? 私はサクラを生涯守ると約束した。サクラはありがとうと了承したよね?」


「えっ、そういう意味?」


「それ以外にある、のかな?」


 え……。

 言われてみれば……。

 でも会って数分の人にプロポーズされるなんて思いもよらず……。考えもせず……。


「えーっと、サクラは私が嫌い……なのかな?」


「……嫌い、とかではないです。助けてもらったし……。でもまだルカのこと何も知らないし……」


「ではこれから知ればいいよ」


 ルカはこれ以上ないくらいニッコリと笑い、その眩しすぎる笑顔に更に顔が熱くなった私に、ルカはすばやくまたキスをした。


「○△#□@◇☆」



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