表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
信長転生-現代社会で天下統一-  作者: 火路目継麻
第二章-信長成長記-
20/25

15話 新党結成

藤井と道岳の顔合わせからは非常に動きが早かった。

強引な消費税導入や断続的に続く利上げ、この辺りから察しの良い議員は当然ながら今の好景気が破綻することはわかっていたからだ。

それゆえに説得も楽であった。

その結果、信秀と藤井が想定していたよりも多くの人数が集まり2人を含め24人の政党となりそうだった。

それも都議員に留まらず現職の衆参両議員も抱き込めた。

信秀が選挙時から経済破綻を主張していたことが知られていたからであった。

都内での選挙活動かつ、報道でも流れるくらいの注目度を集めた副産物的結果だ。


しかし、想定を超える規模になったからこその問題も発生した。


党首を誰にするか、だ。


元々信秀と藤井は5〜6人集まれば御の字と言った想定で、信秀が党首を藤井が幹事長をそれぞれ務める予定だった。

それも任意団体政党でいいと思っていたところ、現職国会議員を7人抱き込めたため政党法人を立ち上げる要件まで満たしてしまった。

そのためこれだけのスタートが切れるのであれば、それなりに顔になれる党首がいた方が良かったのだ。


信秀の主張に真に賛同してくれるそれなりに知名度のある中堅以上のできれば衆議院議員。

こんな条件のもと信秀、藤井に道岳の3人で話し合っていた。

そしてその場にしれっと信長ももぐりこんでいた。

会話の流れで藤井がやって来ることを知った信長は


「じーじとあそぶー!」


と言い張り道岳に張り付き、そのまま疲れて抱っこされながら寝たふりをして今は道岳の腕の中だ。

道岳も道岳で寝室や春花に預ければよいのだが、孫大好き人間の道岳はそうせずに抱きかかえたまま信秀と藤井の待つ書斎へと向かったのであった。

信長の想定通りに。

そんなわけで道岳の書斎での会合の場には現職都議の2人に日本有数の企業の社長と寝ている中身は歴史的偉人の2歳児、というなんとも不思議な状況が出来上がった。


孫を抱きかかえたままの道岳に藤井は疑問の目を向けたが、信秀は『またかー』程度のあきれ顔で道岳を迎えた。

そして話は党首に誰を迎えるか、に戻る。

切り出したのは藤井だ。


「…やはり民自から引き抜きを図るのが一番ではあると考えます。与党分裂、といったインパクトも相まって注目も集められればそこで我々の主張を広めることも可能だと思いますし。」


「それはもっともであろうな。じゃが、肝心の誰にするか、そしてその人間は引き抜きが可能かどうか、じゃ。そもそもわしに意見を求めにきたということはそういうことなんじゃろ?」


道岳は藤井を目を見ながら促した。

道岳の人脈や立場、それらを活用するタイミングだからこそ今会いに来たのだろ?そう言われたのだ。

つまりある程度ターゲットは絞れているということが道岳にはわかっていたのだ。


「藤原社長に回りくどいことは不要ですよね。そうです。狙いは2人。紙原裕太郎か平島千歳の両名が候補です。」


「紙原とはまた大物じゃな。平島は目立つ経歴はないがそれなりに知名度とそれなりのバックボーンがある…か。候補にあげるからにはどちらも動く要素があるということでよいのじゃな?」


「その通りです。紙原はご存じの通り先の総裁選で敗れているので世間的にも離党、新党結成はある話として受け入れられるでしょうし何よりご本人が今の民自に納得いっておりません。平島は特にこれといった話もないのですが、権力欲、自己顕示欲が高い人物なので『党首』という立場なら惹かれるものがあるでしょうし、人をしれっと都合のいい立場に送り込むことがうまいのでその点で有効活用できるかと。」


「正直に言えばインパクトだったり人柄の面からも紙原が抱き込めれば一番なんだけど、そこの交渉に出向くには俺たちだと役不足。ってところで親父に相談しに来たんだよ。平島はまぁ抑えだし党首にすえるにしてもお飾りにはなるだろうってところ。」


「あまりそうやって甘く見るもんでないぞ?平島のようなタイプの人間はそれなりに表も裏も人脈があるじゃろう。そしてそれを動かしてる事実もある、と考えたら意外とやっかいな人間かもしれんからのう。」


「まぁ国会議員になれてる時点ですごいことだしな。ちなみに紙原とは何か接点とかあったりする?」


「2,3回パーティで会ったことがあるくらいじゃなあ。まぁでもコンタクトを取ってみることはできるじゃろ。とりあえずそれはやってみよう。平島はそれ次第、という形でよいか?同時進行させるなら何か考える必要があるが。」


「いえ、まずは紙原単独でお願いします。それが成るのが一番だというのは私も同じですから。」


「わかった。やろう。献金の話っぽく持っていけば場を設けるのも楽じゃからそれなりに早くはいけると思うぞ。」


「お願いします。仮に場を設けるとして最初は我々は行かないものと思っていた方がよろしいでしょうか?」


「そうじゃな。わしも紙原と接点がある、というレベルの関係ではない。ゆえに初回から飛ばしても上手くはいかんじゃろ。まずは関係を作る。」


「畏まりました。でしたら我々も現状を伝えれらるところまで新党立ち上げに賛同してくれている議員には話していつでも動けるようにしてもらっておきます。」


「うむ。今日はこんなところかのう。」



と話はスムーズに進んでいった。

ターゲットも定まり、その人物を説得できるかどうか。

こんな根回しの一場面を寝たふりをしながら聞いていた信長は


-裏での準備は今も昔も変わらんな。わしなら平島とやらを傀儡にして動かしてその勢力を吸収してしまうのが手として早い気はしてしまうな。じゃが近衛…今は藤井か。あやつが平島を推さないのなら裏がやっかいなのか?近衛は表でも裏でも変わらん。それゆえに一本気で面白いやつなのだがここ一番はしっかりと秘めよるからまだ判断はつかんのう。それに親父殿も藤井の前では割と大人しい。大人しくしとるときの親父殿は裏で何をしておるのかの。何か仕込んでおるのだろうなあ。おそらくもうやるべきことは終わってるのだろうな。これは楽しみじゃのう。


前世における近衛前久と織田信秀の在りしの姿を重ねながらこのやり取りを聞いていた。

裏での根回しが今も必要で、その根本が変わっていないことを確認しながらも中身がそれぞれの人物ならばきっと何かをしでかしているであろうということもなんとなく予感していた。

そしてその結果を楽しみにしていた。

事実信秀はしっかりと仕込むべきを仕込んでいて、それが芽を出すのはまだ少し先。

しかし信長にはある程度の見当がついていた。

それゆえの『楽しみ』であった。




この会合を受けて道岳は即座に行動した。

献金の話のようにアポイントを取り、紙原裕太郎との対面に成功していた。

そしてこの新党の話を持ち掛けしっかりと好反応を引き出した。

さすがに敏腕経営者。

相手も相手で大物政治家であるのだが交渉力では劣らない。

2度目の紙原、道岳の会談時に信秀と藤井を連れて行き、そして話をまとめ上げた。

この間3週間である。

たったの3週間で事を成す道岳はさすがであった。

やると言ったらやる。

信長とも共通するこの信念とも呼べる行動理念は血脈とともに受け継がれている何かなのかもしれない。

道岳の血筋も戦国期まで辿れば織田信長がいたのだから。


こうして信秀と藤井の画策した新党結成は最後の1ピースに大物である紙原裕太郎を党首として迎えることで完全に動き出した。

現職国会議員8名、現職都議員17名の総勢25人。

それなりの規模感でスタートを迎えることになった。


その政党の名は『真国政参加党』。

発案は信秀。

『真に国民が政治に参加する社会を作る』

この理念のもとに掲げられた政党名であった。

社会的にも名の知れた大物政治家である紙原裕太郎が立ち上げた、となるこの政党。

幹事長には全国的に見たら無名もいいところの信秀が就いた。

諸々と立ち上げに駆け回った藤井を差し置いて、だ。

これはすでに新党立ち上げに賛同していた議員たちへの信秀の根回しの結果であった。

この結果信秀自身も大きく名を世間に知らしめることとなった。

ほんの4か月弱前まで無名の初当選都議員でしかなかった信秀が一気に知れ渡り、あの紙原の参謀なのか、などと噂されるまでに至った。

それだけ名を売ったのだ。

このことは信秀のこれからの政治家としての進む道を大きく広げることになる。

さらに信長の将来にも影響を残すこととなったのだ。


そして、この新党が結成されたことにより政治界に大きな嵐が吹き荒れることとなった。

率直な感想や、この下の評価入れて頂けると励みになります!よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ