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信長転生-現代社会で天下統一-  作者: 火路目継麻
第二章-信長成長記-
15/25

10話 決断

信長とコアトリクエの会話は3時間程続いた。

その中で信長が得たものは

・元親が転生者か否か(確定的なことは何も言われなかったものの、言い方から信長自身で確信)

・電話、携帯電話、パソコン、インターネットといった信秀と道岳の会話で出てきた単語の意味

と言ったところだ。

話した時間の割に内容が薄いのは単純に信長の2週間分の憂さ晴らしのお説教タイムが大半を占めたからだ。

そんな脱線に脱線を重ねた会話だったが、最後に信長にとって最も重要な情報がもたらされた。


-そういえばトナティウはどうでした?なかなか偉そうで信長さんあんまり好きそうじゃないかなーとは思ってたんですけど。


-あれはあれで話がわかるやつであろう。別に嫌いではないぞ。


-意外!でもそれならよかったですよー。トナティウと上手くいかないと諸々面倒が増えたんで。おかげで信長さんの最後の要望もちゃんとできる見通しが立ちましたよ。


-それは重畳。先があるのならわしの気も乗るというものよ。それが為の不通であったのなら大義じゃ。


-その手のひらの返し方…私だって一応神なんですから考えなしで余計な事しないですよ?


-そんな人と柄を理解するのに2週間では足らん!人の命を弄ぶ糞餓鬼くらいにしか思えんかったわ。


-信長さんよりよっぽど歳食ってるんですけどねー?


-女子が年増を威張るでない。


-そういう感性はあるんですね。


-五月蝿い!しかしそうなればなるほどこの赤子の身体が恨めしいものじゃ。


-んー時間進めることは出来なくないですけど進めます?


-何っ!?それをするとどうなる?


-単純に時間を進めるだけですよ。ただし年単位でしか進められないのと、記憶は引き継げるんですが、そもそもその時間を進めてる間の信長さんはただの幼子なのでそこで得られる知識や経験は無いものと思ってください。


-全て都合よくはいかぬ…と。であれば今は良い。叔父上殿と叔母上殿と会う機会があるようじゃからそこと親父殿の都議選とやらだの。そうじゃ!都議選、政党、無所属、政党政治、都知事、国会議員、総理大臣。この辺りの意味を教えぃ。


-あーなんかもう政治家関係の単語てんこ盛りで…。まずはそもそものところから説明しますよ。今の信長さんのいる時代の日本は47の都道府県に地域分けされています。その各地域に都議会、道議会、府議会、県議会といった形で自治体が形成されています。その首長にあたるのが知事。都議選はその議員を選ぶ選挙のことで、信長さんが住んでいるのが東京都になるので信秀さんは都議会を目指している、という状況です。そういった地方自治体があるうえで国会、というのがまた別に存在しています。そこの議員が国会議員。その頂点が総理大臣です。そして、そういった議員が所属しているのが政党。建前上は同じような政治主張を掲げる政治家の団体です。要は政治方針決めるのにも結局は数が必要だよ、と。逆に政党に所属していない議員を無所属議員と呼びます。ざっくり説明するとこんな感じですが不明点はあります?


-だいたいはよい。これは日の本だけでなく世界中共通でこういった政治体系をとっておるのか?


-基本的にはそうです。当然例外もありますが…。赤と青の話は覚えてます?社会主義と資本主義。


-日の本は資本主義で青、周りは社会主義で赤だったのう。


-その政治主義でも体系は同じでも中身が全く違っていたりしています。


-となると、赤側が数…多数決の原理に法っておるような体系でその実権力者の独裁といったところか。いや…青側も実態は大差ないのであろう。まぁよい。つまり親父殿はそういった政治の在り方に風穴空けに行くわけじゃな。


-本当に信長さんの思考力には頭あがりませんよ。信秀さんの思考も含めだいたいその通りです。


-わしにやらせんとしてるのも結局はそこじゃろ?それにこの現状を民は何もせずに受け入れておるんじゃろう?


-そうですね。特に日本はその傾向が強いです。政治に関心が向かないように仕向けられてきてしまった弊害です。


-…権力握っておるものからすれば民が愚かな方が楽であるからのう。くだらぬ…な。ならばわしのすべきは血の流れぬ下克上を惹起することであるか。欲に溺れた無能な古き支配層を排し、自由と秩序の基に世を創れと。


-そんな方向性じゃないですかねー。


-今の世も前の世も結局やることは同じか。そこはかとなく頭は纏まった。さっき言っておった時を進めるのはおぬしに言えばいつでもできると思っておいてよいのか?


-いつでも…とは行きませんがもしそうしたくなったら言ってください。


-わかった。その機も含めて改めて思案するとしよう。


-こんなところでひとまず大丈夫そうですね。赤ちゃんの体にはそろそろねんねしないと毒ですよ?


-五月蠅いわ!だが感謝する。


-またそんな殊勝な…。


-言うべきことは言わんと人はいつ物を言えなくなるかわからんからの。ではわしは寝るとする。


-はーい。ではまた。





信長はコアトリクエとの会話で得られた情報を反芻していた。

なんとなく見えた方向性と知識。

そして元親についての考察。

何より得られたのは一つの可能性が消えたこと。

それらを吟味しながら信長は思考を続ける。


-これで一つはなくなった。であればやはり素直に考えた場合と寝取ったもの…そして結局の勝者か。まだまだ情報が足りん。後世に伝わったことからも何かは得られるだろうしのう。あの違和感が何かを掴めればそれが答え…か。生きるとは思案の連続じゃのう。さっさと動ける身体にならんと頭だけ動いて実が追い付かん。時を進める…考えようだのう。まぁ選択肢ができたことをまずは喜ぶべきか。今は寝る…それが正義じゃ。


そういうと信長は目を閉じた。

赤子の身体はすぐに眠気に従った。



信長の中で一つの結論が出た上で5日後が訪れた。元親とその妻小雪の来訪の日だ。

信秀夫妻と信長、道岳夫妻はリビングで談笑していた。そしてチャイムが鳴る。

この音が来訪者の合図だと信長も学んでいた。

そして信長は今日できるだけの情報を得て、それ次第で今後どうするのかを決めるつもりでいた。

今出来ることと今後得られるであろうこと、それに起こり得る危機…それらを天秤にかけるつもりだ。

信長はそれほどに元親という人物には何かを感じていた。


その元親が小雪を連れ立って入ってきた。

すると初めて聞く女性の声がした。


「春花義姉さん久しぶりー!!わぁ可愛い!!!信秀義兄さん似かな?抱っこしていい?」


「出張お疲れ様小雪さん。どうぞ。大人しい子だから大丈夫よ。」


そういうと春花は信長を小雪に差し出した。

小雪の腕に抱かれた信長は小雪を見つめながら


-また騒がしい女じゃな。祖父上殿と似たものを感じる…。


と若干の危機感を覚えていた。しかしそれは杞憂だったようでしっかりと抱っこされるだけで身の危険はなかった。

信長を抱っこしたまま小雪が春花に話しかける。


「赤ちゃんってこんなに大人しいのね!というかすごくこっちを見てる。人見知り?」


「人見知りするほどまだ見えてないわよ。けどあんまりにも泣かないしすごく色んな人を見てる感じはするのよね。」


「なんか手のかからなそうな子で春花義姉さんも元気そうってことは夜も大人しいの?


「そうなの。おかげで夜もぐっすり。色々覚悟してたのに拍子抜けって感じ。」


「いいことじゃない。私もこんな子だったらいいなーとは考えちゃうけど仕事楽しいしなー。」


それを聞いて道岳が複雑な表情を浮かべた。


「元親と小雪さんの孫を早う見たい気持ちも強いんじゃが、それで今小雪さんに抜けられてしまうのもなんとも言えんわ。」


「今はお義父様なんですから仕事っ気は厳禁ですよ!」


「それもそうじゃな。でも孫は本当に可愛いもんじゃ。生きてきた意味をようよう感じるわい。」


「春花義姉さん!お義父様…こんな感じ?」


「退院してきてからずっとこんな感じ。」


「うわーこれ社内しか知らない人が見たら絶対誰かわからない!!孫の力ってすごいねー!」


こんな義娘たちの会話に道岳はやり場のない表情だ。


「はいはい。あの人弄るのはそれくらいにしてお茶でもどうぞ。」


と時子が空気を察して会話を切った。


その後ろでは信秀と元親が会話をしていた。


「兄さんの引継ぎ処理が完璧すぎて本当仕事が楽だよ。挨拶回りは終わったし、あとは数字で超えることくらい。」


「まぁ俺は俺で気楽な立場になれて万々歳だよ。それになんだかんだで管理職みたいに人を使うのはお前の方が間違いなく向いてるしな。」


「そんなことないよ。兄さんにはまだまだ少しも勝てる気がしないしね。」


「結局人は適材適所だし向き不向きだよ。気楽にやればいい。俺も俺でやりたいことやるわけだしな。」


と、表面上は和やかな会話だった。

これを聞いていた信長は前回の元親と雰囲気がどこか何か違うことを感じた。


-普通の兄弟の会話程度にしか聞こえん…。わしの考えすぎだったのだろうか…。それとも二面性があるのか…?


信長が元親に感じていたどこか不安にさせる雰囲気が今日はなかったのだ。

それが腑に落ちない。

しかしその後も元親から不穏なものは感じることがなかった。


リビングでは3夫妻での談笑が続いている。

その様子を聞きながら信長は思案していた。


-おそらく叔父上殿は不安定な気質なんじゃろう。何かきっかけ次第で壊れる類の人間に思える。そしてその箍になってるものがある限りは問題にならん。その箍は…伯母上殿だろうか。前回はいなかった。アメリカに行っていた…つまり叔父上殿はその間一人で生活をしていて心が歪んでいた…?そう考えるのが今時点では妥当か。そうなると当面はわしが危惧することもない…のか?まだそこまではわからんがそんな気がするのう。となればわしは進むべきか。


判断基準がまだ足らない…が出来ることもない。

この合間で判断が揺れていた。


-しかし何かが起きたとしても…この身体にできることはない…か。となればやるべきは一つじゃの。猫神!聞こえておるか?


-はいはーい。どうしました?


-時を進めよ。二年じゃ。


-さっくり決めましたねー。しかも時間指定まで。ちなみに二年にする理由は?


-親父殿の選挙とやらが再来年…つまり二年後なんじゃろ?それは実体験として見ておくべきと考えたからじゃ。


-じゃあその選挙前あたりに進めたらいいいですかね?


-本格的な準備期間あたりになればよいの。そのあたりはおぬしに任せる。


-わかりましたー!じゃあ準備しちゃいますね。進めたら戻ることはできないですけどいいいですね?


-構わん。進めよ。


-はい!


信長は時間を進める選択をした。

すると信長の視界が歪んでいくのを感じた。

そしてそのまま眩暈のような感覚ともに信長の意識が遠のいていった。

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