異世界の神様
「初めまして、アナタが地球の神が推薦した人ね」
急に辺りが白んだかと思ったら突然女性が現れた。
白いドレスに金の長髪、透き通った美しい声、幼さを残した超絶美少女。
胸は……残念な事にあまりない。
「胸は大きいと重くてねえ」
いかんいかん、神様の前で失礼な。
案外舞い上がってるみたいだな僕は。
「まあ許しましょう、アナタにはコチラからお願いする訳だし」
地球の神様が言ってたなあ魔王になってほしいとか、どういう訳なんでしょうか?
「異世界で魔王に、って話は地球の書物にもあるでしょう?
まあだいたいあんな感じなんだけど。
私の担当の世界プロヴィデンスはアナタからしたらファンタジーな世界な訳なんだけど、勇者と魔王が戦って、勇者が勝てば人間が、魔王が勝てば魔族達が、それぞれ土地や奴隷欲しさに同種族で戦争して、中々文明レベルが上がらなくてねえ、ファンタジー世界によくある話なんだけど。この世界は魔王交代、勇者交代のスパンが早すぎて」
僕がそんな世界で何をしろと?
ああいや魔王をやれって話はまあ聞いてますが。
「簡単に言えば君臨し続けて欲しいの、最強の魔王として勇者を退け続けて、魔族達を統率しつつ、人間達は魔王を倒すために助け合う、そんな状況を長く保たせて欲しい」
ああ、なるほど。
要は必要悪を演じろと。
「そうそうそう、そう言う事」
僕で勤まるかは分かりませんが、やれるだけはやりましょう。
その為にコチラに来た訳ですし。
ん? このやり取り、部署移動した時に似た会話したな。
「じゃあ早速、体を作りましょう」
そう神様は言いながら、指を鳴らすと、僕の前にゲームのキャラクリエイトみたいな画面が映し出された。
「地球の人ならこういう方がやりやすいかなって」
との事らしい。
正直ありがたい。
ふうむ、性別はまあ男、身長は高過ぎず低過ぎず、いや、ちょっと高めにしよう、175前後で。
筋肉量……ムキムキは憧れるけど……細マッチョくらいにしとくか。
髪の色……銀に前髪に黒のメッシュにしようゲームでよく使ってた色だ。
さて問題の顔だが、まあ普通に。
「駄目でぇす、顔はイケメンにします」
いや、選ばせて――
「駄目です」
これは、はいを選ばない限り次に進めないやつだ。
仕方ない、顔は神様に任せよう。
「任せなさい、目は切れ長で釣り上がってるけど、怖過ぎず、怒るとめっちゃ怖いけど、普段は優しげに。
鼻は高過ぎても不細工だから適度に高く、筋は通ってる感じでえ」
コレ完全に神様の趣味だな。
「大人っぽさよりも少年っぽさがほしいなあ」
厳つくて渋いやつがい――
「ふふふ、却下よ」
駄目だこりゃ。