表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

4/8

【第四章:My Love】

【第四章:My Love】

【これまでのあらすじ】

 罪人の塔からナローとともに脱出した20億頭のマウンテンゴリラ。彼らは瞬く間にこの星の生態系を覆してしまった。人類は彼らに対抗するため『ゴリラハンターズ』という組織を創設する。そしてその中でも選り抜きの精鋭によって構成される『ハンターズ00』はこの『ゴリラ・ウォー』の引き金を引いた究極の危険人物・ナローを暗殺するための特務組織だった。落ちこぼれから世界を壊すテロリストまでに変貌を遂げたナロー。ナノテクノロジーによって生み出された調整人間『ジュード;PV7型-89号』は彼の半生と足取りを追ううち、自身の所属する『ハンターズ00』の局長である勇者・ユウの影に気付く。問い詰めるために局長室へ『ジュード;PV7型-89号』が訪れたまさにそのとき! ユウを襲う刺客の影が! 「危ない!」腕の振り抜きざま内蔵ブレードを展開した『ジュード;PV7型-89号』。鍔迫り合いの中で見たのは、死んだはずの彼の妹の姿だった。「――――康子!?」けれど刺客は答えない。闇の中へ消えていく。「局長、これは一体――――」ユウに問いかけようとした彼に返されたのは、ただ刃の一閃だった。「……優秀すぎるな。これでは、俺よりも先にナローに辿り着かれてしまう」生命維持装置が悲鳴を上げている。「あいつを殺していいのは、俺だけだ」薄れゆく意識の中に彼が見たのは、かつて家族と過ごしたクリスマスの光景だった……。「康子……」声は、もはや。







【本編】



「しばらく見ないうちに、随分太ったんじゃない?」

「……その声、康子か」


 夜、埠頭。

 トレンチコートにハットを被った両目眼帯の男が、背中からかけられた声に応えた。


「何の用だ?」

「何の用っていうのはちょっとひどいんじゃない? 用がなくちゃアタイはあんたに会いに来ちゃいけないのかしら。ナロー?」

「フッ……」


 両目眼帯の男……ナローは笑う。


「全然関係のない話だが、『いけないのかしら』に含まれている『井の頭』の部分に……今気付いた」


 振り向く。

 もはやその顔は、康子の知るかつての気弱な青年の顔(図1)ではなかった。

 険しい。数々の惨劇を乗り越えて、危険な……そう、危険な獣の顔(図2)になっていた。





(図1)


___( ^ω^)____

   ¯¯¯¯¯¯¯¯¯  じめん


(図2)


 ( ФωФ)





「変わったわね……あなた」

「君は……変わっていないな」

「あら、両目に眼帯をしてるから見えてないだけじゃない?」

「ふふ、これは一本取られた」

「ファッション眼帯は一本だけにしておいた方がいいわ」

「ふふ、二本も取られてしまった。剣道の試合だったら私の負けだったよ」

「これは剣道の試合よ」

「何ィ!? 図ったな!? ぐわァああああああーーーーーーッ!!!」


 炸裂!

 敗北のショックでナローの肥え太った腹部は花火のように破裂した! 見るも無残! 跡形もなく彼の身体は粉々になると、海風に乗って遥か彼方、闇の向こうへ消えていった!


 取り残された乙女は一人、祈りのように胸の前に指を組み、そして囁いた。


「グッド・バイよ。アタイの愛した人……」



【第四章:My Love――――了】

【To Be Continued……】




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ