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都会に烏、田舎に鳶

作者: サカムケア
掲載日:2019/04/18

『猫はよく車に轢かれているけれど、犬が轢かれているの、見たことないね。』

と、屈託のない笑顔で不穏な話をする彼。

「それはね、」

少し戸惑ったが、そんな素振り、おくびにも出さず私は答える。

「猫はわざとやってるの。」

『えっ』

さすがに少し刺激が強かったようだ。

「死期を悟った猫が、最後の最後に、自分の命を終わらせる瞬間を楽しんでいるのよ。そうでもなきゃ、理由がつかないでしょう?」

『言われてみれば、猫ってそういうところあるのかも。』

彼を丸め込むのは簡単だ。

でも、今私が言ったことは本当だ。私の中では。


私は中学生の3年間、田舎に住んでいた。主要産業が漁業の、いわゆる漁師町というやつだ。

そこでは、カラスなどほとんど見ない。カラスよりもトンビの方が圧倒的に数が多い。何故だろうと思うまもなく私はそれに慣れ、そして高校生になった。

街へでてみると、はたとトンビを見なくなった。そしてまた、何故だろうと思うまもなく私は慣れた。


代わりに、カラスと、車に轢かれた猫をよく見るようになった。猫は、国道の端で、平面になって死んでいる。カラスはそれを啄む。

何故だろうと思うまもなく、私は慣れた。


いや、駄目だ。

慣れちゃ駄目なんだ。慣れて良いことと、慣れてはいけないことがある。

これは後者で、そして私はそのことについて何も出来ない。

理由を考えよう。

猫が轢かれる理由を。そして、それを本当にしよう。

なるべく素敵な理由がいい。

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