第九十七話 裏切りはあの子だと知っている
「リリーダちゃん、どこに行くの?」
リリーダと共に制服に着替えたアリミナールたちは、学食とは違う道を進んでいるリリーダに聞いていた。
「教室に準備してきたんです。」
視線を合わせず、リリーダはアリミナールの手を引いて案内している。
とある教室の扉の前に着くと、リリーダは少し悩んでいたが、ゆっくりと扉を開けはじめた。
「アリミナール様、許してください。」
あまりに小さな声でアリミナールには聞こえなかった。
とある教室には、机も椅子も学校の備品は片付けられた状態であった。しかし、中央にテーブルが置かれ、5人掛けの椅子が見えた。優雅なひと時を連想させるティーパーティーがお似合いな風景であろう。
すでに、テーブルにはランチの準備が済ませているためか、使用人がいてもおかしくないこの空間には使用人は一人もいなかった。しかしある人物たちは確かにそこにいた。
「何これ?」
アリミナールはやっと言葉が出たと思ったら、間の抜けた言葉しか出てこなかった。とりあえず、目に見えるものよりも先に確認すべきことがあると感じたアリミナールは、リリーダのほうに視線を戻した。リリーダの両手を握るようにして上目遣いになる。
「リリーダちゃん、説明。」
「ひゃい!」
少し怯えたようにリリーダは返事をした。
「なんというかですね。どのように説明してよいものか迷うのですが。・・・ここで昼食はいかがですが?」
えへへっ、とわざとらしいリリーダの言葉を聞きながら、一向に視線が合わない。
「よくわからないな。もう一度、私にもわかるように説明してくださる?」
追い打ちをかけるように再度確認する。
「えっと、えっと・・・。どうしてもこちらで昼食を食べたいなぁ~と思って。」
「じゃあ、私は寮に戻るわね!」
「あ!待って、待ってください!アリミナール様がいないと・・・意味がないというか~。」
「リリーダちゃん、どうしたの?」
恨みを込めたようにアリミナールは睨みをきかせる。
「えと、えと。えへへっ。」
「はぁぁぁ~~。」
アリミナールは大きなため息をついた。どういうわけか、アリミナールの目にはグラン、ケイン、ガイ、リリーダの姿が映っている。
どうやら、主人公には運命を大きく動かす力が存在するのは確かなようだ。それでも、リリーダに何か考えがあってこのメンバーが揃ったのだろうかとアリミナールは考えていた。