第九十三話 コスプレ撮影会は突然に
さも当然のように私のクラスにいるリリーダの姿を発見した。なぜかその手にはカメラが見える。
「アリミナール様!お帰りなさい。とてもお似合いです!可愛いです!好きです!」
あ~やっぱりリリーダの育て方を間違えてしまったらしい。何も聞こえない。よし、全員を無視して着替えてこよう。
「ちょっ!ちょっとアリミナール様!カメラですよ?怖くないですよ?記念撮影しましょうよ!」
じとー。何も言わずリリーダの目を睨む。
「アリミナール様、私たちクラス一同この思い出を写真と共に残したいのです!こちらのアリミナール様のお友達が、快く写真を撮ってくれるとのことで、お願いしてしまいました!」
クラスのご令嬢が説明してくれる。キラキラした目で見ないでほしい。
「嫌です。」
そう言って私はリリーダからカメラを奪うと、リリーダやクラスのみんなの写真を撮り始めた。カシャカシャ。
「私が写真を撮ります!」
ぬいぐるみ片手にカメラを持って誇らしげにする自分が、どうしようもなく変人にしか感じない。
「アリミナール様、一緒に!一緒に映りましょう!」
クラスのご令嬢にお願いされたが、着替えてないので却下した。こんな醜態さらしたくない。写真って一生ものっていうよね。
写真係となったアリミナールだが、案の定リリーダはクラスの連中にまた連れて行かれた。その隙に着替えに急いだ。
再度クラスに戻ったはいいが、カメラを持っているため、応援プラス写真担当のように適当にシャッターをきることにした。こうしてクラスの人たちを見るとゲームのストーリーのことを忘れそうになってしまう。
「俺たちのクラスもけっこう頑張ってるよな。」
クローが競技から戻ってきたようで話かけてきた。コクリと頷く。
「アリミナールも頑張ってたよな!あの仮装、評判だったらしいぞ。」
すごく嫌そうにアリミナールはクローのほうを見た。
「あの時、騒がしくてなんて言ってるのかわからなかったんだが、最後のひと言ってなんて言ったんだ?」
しばらく何も答えなかったのだが、クローがこちらをみて返事を待っている。めんどくさいので答えることにした。
「・・お兄ちゃん。」
「破壊力がすごいな。」
これはバカにされているのだろうか?同い年の人にお兄ちゃんっていうの恥ずかしいよね。
午後の部はあっという間に終了した。私のクラスも頑張ったが、優勝は2年生のクラスだったそうだ。
*番外編完結