第九十話 逆ハーレムですか?
競技は白熱した戦いをみせている。アリミナールのクラスもどうやら健闘しているようだが、アリミナールの目には映らない。見えるのはお菓子とご令嬢たちのみで、競技の応援は誰もしていない。といっても競技参加率が多いためクラスの生徒も残っているのは少人数である。
「はわわっ!アリミナール様~。」
与えられたお菓子をいつものようにというのは変だが、食べている。どうやら、ご令嬢たちもご満悦のようだ。というか、どう考えても私より身分が高い人ばかりなのだから、名前に様を付けられるのはどうも慣れない。
少し離れたところでクラスの生徒の男性たちもいるが、自分のクラスの競技を応援どころか誰もみていない。注目するはアリミナールたちご令嬢の集団であった。
こうしてご令嬢に囲まれるのは悪い気はしないアリミナール。未だになぜ餌付けされているかは謎に包まれている。ある意味逆ハーレムじゃないかな。ゲーム設定上の登場人物ではないが、どのご令嬢もとても可愛らしい容姿をしている。
ゲーム上の人物以外と接していると、なんとなく私と関わっていいものか悩んでしまう。さすがに初恋レディから遠ざかっていることは理解してきたのだが、どこまでがゲームで、どこまでが私にとっての現実になるのか境目がわからない。
さて、ご令嬢たちとの時間も終わりを告げる。アリミナールの競技の出番がやってきた。実はこの競技はアリミナールが選んだものではなかった。クラスの委員長である生徒からどうしてもと言われ、お願いされた競技だ。運動が得意ではないアリミナールにとっては特に断る理由はなかった。【仮装競争】、なかなか面白そうな競技である。
1、仮装の内容が書かれた紙を取る
2、それぞれの仮装の道具を揃えてゴール
3、クラスの生徒に仮装を当ててもらう
さて、一体どんな仮装をするのか楽しみだ。
スタートでは、安全性について淡々と説明された。まず、この競技で危険性とかないよね。そういえば、クラスの生徒に当ててもらうとか言ってたけど、誰に当ててもらおう?っていうか、この世界の仮装ってなかなかにハードル高くないかな?アニメとかゲームがないし。
「よーい、始めっ!」パーン。
やはりというかなんというか、足の遅いメンバーが揃っているようだ。しかし、アリミナールも足の遅さでは負けない。
まずは、仮装の内容のくじを引いて愕然とした。
「妹ってなに?」