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第九話 弟属性っていいかも

 アリミナール・ブラックレスは困っていた。

 たぶん、たぶんであるがゲーム内容と少し変化があることに。

 アリミナール・ブラックレスは本当に困っていた。


「兄さまはお前と友達だといって聞かないんだ!」

ずっと見てみぬふりをして困っていたアリミナール・ブラックレスは答える。

「ケイン様、私は友達といえる方はいないのです。あなたのお兄様がいくら言おうと、私は彼の友達ではありません。」

 ほぼ連日であった。彼は小言を言いにアリミナールの屋敷に現れた。王族であるために、この屋敷に来るだけで大変であるのに。しばらくはアリミナールも警戒していた。しかし、いつまでも無視しているわけにはいかないのだ。


 メイドを下げさせて、アリミナールはケイン王子のカップに紅茶を注ぐ。

 それを見て、ケイン・アンジャードルタは紅茶を飲み始める。


「俺がお前の友達になったら、兄さまはお前を友達と言わなくなるか?」

さすがというべきか、グランの弟である。しかも弟タイプの可愛さを心得ているかのように、上目遣いで目を潤ませる。本当に同じ6歳?


 ああ、なんてかわいいのかしら。私の弟にしてしまいたい。私にとってツンデレは正義だけど、弟属性もあるのかな。無意識なのかケインの頭をナデナデしてしまっている自分がいる。


「ケイン様は、グラン様のことが本当に好きなのですね。私には兄弟がいないので羨ましいです。」

「当たり前だ。兄さまはすごいんだ。えっと、えっと・・・」

 なんだかケインが落ち着きなく目線を上下にして私を見ては他をみて、と繰り返している。

「お前、もっと話せ。」

 少し困ったような、驚いたようなそんな表情になった私にケインは目を逸らす。

もしかして、ずっと隠れたり、無視をして話さなかった私が、いつになく話しているのを面白いと思っているのか?


「では、私はアリミナール・ブラックレスです。ケイン様。」

「うっ、えっと、何と呼べばいい?」

「名前であれば、お好きなように。」

「近しいものからはどう呼ばれているのだ?」

「アリーと呼ばれています。」


 少し考えたように、恥ずかしいようにケインは口を開いた。


「アリー、今日からお前のことはアリーと呼ぶ。」

「はい。」


 また来る、と言葉を残しケイン・アンジャードルタは今日も帰っていった。

 来ないでほしいと本人にそれとなく聞こえるように言ったのだが、彼は笑顔であった。

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