第八十四話 争奪戦、悪役令嬢の企み
「そんなことありえないと思ったが、お前のことなのか?」
グランはケインとリリーダの睨みあいを無視して話を続ける。リリーダをみて確信したようだ。
「お前があの・・・。くそ、アリミナールに嵌められたな!」
「兄さん?」
「この状況を作り出したのはアリミナールだ。この組み合わせってことだ。なるほどな、それで7人で昼食なんてこと言いだしたのか。」
「それってつまり、アリーは・・・。」
「もうここには戻ってこないだろうな。高みの見物ってやつか。」
「・・おい、二人で話を進めるな。どういうことだ?」
ガイはグランとケインに向けて聞いてきた。
「つまり、あ~そう。簡単に言うとアリミナールは俺たちが仲が良いと勘違いしている?今こうしてギクシャクしていることに気づいてないんだろう。」
「もぉ~なんでもいい!」
リリーダはいきなり叫んだかと思うと、立ち上がった。
担任の先生に案内され、今は誰もいない校舎の中を歩いている。行事中はほとんどが、立ち入り禁止のため、電気が付いていたり消えていたりしている。
「ここだ。」
そう言って担任はある空き教室を開けてくれた。
「これが鍵な。」
鍵をアリミナールに手渡し、担任の先生は廊下の先に消えていった。
「ふふふ、ここから高みの見物と行こうじゃない!さぁ、リリーダちゃん!誰を選ぶのかしら!」
アリミナールの作戦、攻略対象者と主人公を一緒にすれば今後の展開を少しでも把握できるのではないかと、先生に頼んで空き教室を1つ貸してもらった。理由は、競技による魔法使用によって、体力消耗が激しいので人のいないところで休みたいと伝えた。
「よしよし、6人座って待っているな。独り占めイベント発動は誰がやるのかな~?」
半ば強引にセッティングをしたが、今後は運命ってやつがどうにかするだろう。それにしても、やはり室内から見ても彼らの様子はいまいちわからないし、二人っきりになるチャンスって難しいのかもしれないとアリミナールは一人で悶々と考えていた。
ガラガラ。
アリミナールが窓の近くで彼らの様子を見ていた時、一人しかいない教室に誰かが現れた。
本来、学生は学園への立ち入りを禁止しているため、誰かが入ってくることは考えられないのだが、その人物はそこに現れた。
「ここは立ち入り禁止ですのよ?」
アリミナールはただ黙ってその人物を見ていた。