第八十話 争奪戦、その頃あの子は
「どこに行ったというの!」
青いひらひらの衣装を身に纏い、右往左往していたリリーダの姿があった。そこにはグラン、ケイン、ガイ、ナリク、クローの姿もあった。
時間は遡り、1時間前のことだ。
「みんなで昼食を?」
リリーダが聞き返していた。
アリミナールとリリーダがクラスで応援していると、グラン・ケイン・ガイの3人が現れた。
「そう。さっきの魔法について詳しく聞きたいと思ってさ。」
そう爽やかにグランが告げる。
「アリミナール様、言ってやってください!」
何を?と疑問を浮かべてリリーダに目をやった。
「アリー、そういえばこの前の!」
元気よくケインがその話に入ろうとするので、物理的に口を塞いだ。
「・・この前?」
ガイは険しい顔をして私を睨んできたが無視する。
そんな時だった。後ろからクローの声がした。
「なんだよ~もうお昼ご飯の話し?早いな~。」
冗談まじりにクローは話しかけてきた。
アリミナールはこのメンバーをみてあの人物についてもふと考えていた。その時だった。
校庭のほうからナリク・グルテンがこちらのほうに走ってくる姿がみえた。そのまま、アリミナールたちのもとにやってきた。確か種目は借り物競争みたいなものだった気がする。
「ちょっとあんた!えっとアリミナールだったか?」
ナリクに話しかけられたが、その話を遮ってアリミナールはこう言った。
「じゃ、この7人で!」
周りの人たちは全員驚いている様子だった。特にリリーダが。どうやら断ると思っていたらしい。
「えっと、頭に付けてるリボン・・借りていいか?」
ナリクは疑問を抱えたまま競争を放棄するわけにはいかないのでアリミナールに声をかけた。
「リボン・・。」
そう言ったアリミナールは、リリーダのほうに向きなおし胸に飾られたリボンを許可なく引きちぎった。引きちぎったと言っても、もともと取り外しできるため服が破れたりはしていない。それをそのままナリクに手渡した。
「お昼、約束ですよ。」
NOとは言わせないかのような迫力で、アリミナールはナリクに言い放った。
そしてナリクは2回頷き、競技に戻っていった。
5人の攻略対象者たちは、それぞれのクラスや、競技に戻っていった。残ったのはアリミナールとリリーダだった。
「アリミナール様?あの方たちと知り合いなんですか?」
「一応ね。」
「どうしてあの5人と昼食を?」
「リリーダちゃん・・・それはね・・・。」