第七十九話 いいえ、魔法少女です
「魔法科のお二人、ありがとうございました。続いての種目を開始します。」
そして、チーム協力型、体力測定がスタートした。
「アリミナール様、やりましたね!」
「完璧な変身だったわ。」
「さすがアリミナール様です!まさか、衣装を二つ着て魔法で燃やすなんて発想ありませんでした!」
「魔法少女に生まれても良かった。」
「え?」
「いえ、なんでも。」
「それより!早く着替えに行きましょう!アリミナール様がかわいくて仕方ありません。」
「コスプレに興味あるの?」
「なんですか?コスプレ?」
「あ、いや・・。リリーダちゃん!その衣装誰かに見せに行くべきだよ。」
アリミナールは誤魔化すように話を切り替える。
「見せる人なんていませんが?」
「誰かいるでしょ?」
「え~と、いないですね。」
「いる!」
「なんで断定なんです!?」
そうこうしている間にリリーダだけ着替えさせずにクラスに置いてきて、アリミナールはリリーダの元を離れた。そして担任のところに急いで向かい、あるお願いをして着替えに行った。
アリミナールが着替え終わり自分のクラスに戻る途中、見ず知らずの人から何度も声をかけられた。そのほとんどが、素晴らしい!また見せてほしい!など称賛の嵐だった。戸惑うものの、褒められているため悪い気はしない。
クラスまで歩行している間、あるところではグランが走っており、完璧王子はもちろん1位を獲得。ケインも違うレーンで1位を獲得していた。そんな彼らの応援は女性の声が多かった。そして走り終わった後も女性に囲まれていた。
ところ変わってナリクは、ある程度運動できるが特別得意ではないようだ。そんなナリクとは違い、クローは万能であらゆる競技に参加していた。女性からの声援も多い。
ガイは、運動が苦手なようだ。しかし、一生懸命に参加している姿が功を奏したのか男女関係なく応援されていた。
「アリミナール様おかえりなさい!」
クラスに戻ってきた私をいち早くリリーダは迎えに来た。クラス違うけど。
「どう?魔法とか、衣装とか、褒められた?」
「ええ、たくさんの人がうるさいくらいに。」
「え?」
アリミナールは心の中で考えていた。
『たしか、ここらへんで独り占めイベント発動だったような・・。やっぱり決行はお昼休憩がやりやすいのかな?どのキャラにもチャンスはあったと思うんだけど。』
アリミナールの悩みは尽きない。着替えに行こうとしていたリリーダの腕を掴み、私は物思いに耽っていた。