第七十六話 そろそろイベントですよ?
素晴らしい朝、私は優雅に起き上がる・・ことは出来ない。
いつもの光景に変わる、リリーダ・キャラベルが起こしに来た。
「おはようございます!」
「うっ、笑顔が眩し・・。」
主人公らしい幸せの笑顔で出迎えられ、今日も私の朝が始まる。あれ、ジャンル間違えてませんか?こちら、乙女ゲームでしたよね?
いつもの朝であるが、学園も全体的にざわつき始めている。この学園はイベントが多い。まず、手始めに行われる行事は運動会のようだ。正式名称は『チーム協力型、体力測定』らしい。ライトストーリー学園はほとんどが権力の強い王族や金持ちであるから、外部からの見学はない。さらに、怪我をさせるわけにはいけないので、安全に行えるよう注意が呼びかけられている。運動会において怪我は免れないことだと思うが、普通の学校より大変そうだ。クラスごとに分かれてのチーム戦らしい。優勝者のクラスには何か貰えるようだが、忘れてしまった。普通に考えれば上級生が勝つからね。
「お、アリミナール!決まったのか?」
教室の席に着き一息ついたところで、クローに話しかけられた。基本アリミナールは無駄な会話をしたくないため、目で訴える。なんの話し?と疑問を頭に浮かべる。
「目で会話するな。聞いたぞ?開会式で魔法使うんだろ?アリミナールが魔法使うところなんて普段みたことないから楽しみにしてるぜ!」
クローは楽しそうに話をしてきた。
「リリーダちゃんとやる。小さい頃から一緒に魔法の訓練してきたから、練習しなくても楽勝。本気、みせてあげる。」
「おお!強気だな!なぁ、前から思ってたけどアリミナールはもっと話したほうがいいぞ?なんか、話してない時間はちょっと怖いというか・・。」
そう話して頭をポンポン叩いてきた。
子供扱いはやめてほしい。それにしても、自分でも知らず知らずのうちに悪役令嬢らしさが出ていたのか?いいことなのか、悪いことなのか判断に困る。
「人除け。」
「せめて笑ってればいいかもな?」
そういわれたので営業スマイルのように笑ってみせた。なぜか笑顔を向けたのに目を逸らされてしまった。
「ま、まぁそのほうがかわいいと思う。うん。」
クローは、目を逸らしながらうつむき加減で耳を赤くしてしまう。
「目をみて言えないほど怖いの?それとも笑われてる!?」
アリミナールは、目を見て言えないことは嘘だと判断した。あと目を逸らされたことが軽くショックだった。