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第七十二話 喧嘩は昔のようにはいかない

「知らない人じゃないよ。ナリク君だよ?」

「今はそんなことを言っている場合じゃないんですよ、アリー?」

ケインにそう言われた。

「・・・。」

ナリクは状況が掴めないために静観している。

「男性を自分の部屋に呼んでいることに対してもっと危機感を持つべきですよね?」

そうグランに言われたため、アリミナールは返答した。

「じゃあ、グラン様とケイン様はどうなんでしょうか?あら、それともそのかわいらしい顔は女性であると?なるほど、女性であれば問題ないですね。」

笑顔で二人はどうなんだと反論することにした。

「そんなことを言っているんじゃない、知らない男を部屋に入れるな。」

冗談をすっ飛ばされた!怒ってるみたいだし、これは謝るべきなのか?

「うっ、ごめん・・なさい。」

なんで!?なんで私が謝るの?いや、ごめんなさい、二人の顔が怖いです。謝るんでいつもの美少年に戻ってください。

「俺たちは寮母さんに了承を取っているけど、彼のことも伝えないといけませんね?」

「ま、待って!それは、あの、ここの寮母さんはそういうところ本当に怖くて、その、なんでもするから言わないでほしいです。グラン様。」

「ほぉ~?なんでも?」

「いや、ちがっ!なんでもは無理ですぅ!私にできることなら!」

「アリミナールに出来ることなら、なんでもいいんですね?」

「待って!そんな約束できないわ。ってなんで私が押し負けているの!やっぱり子供の頃とは違うわね。私を脅すなんて何が目的なんですか?」

「アリミナールは、俺たちが脅しているというのですか?」

グランは弱みを盾に、脅しているようにしか感じない。

「ぷっ、あははっ。」

いきなりアリミナールの隣にいた人物が笑いだした。それはナリクだった。

「いや、すまない。あまりこの子を責めるな。一応、怪我の手当てをしてくれた人なんだ。彼女が罰を受けるなら、俺も一緒にやる。」

なんと!あのツンデレ君が笑っただと!?レアだ。そしてやはり、自分も罰を受けるなんて潔い。

「兄さんはそんなことしませんよ。アリーのことをからかっているだけです。どうやら、昔のように言い合いが出来ることが、よほど嬉しいようです。」

「バレたか。」

ケインが呆れたようにグランに向けて話した。

そんな時だった、扉のほうから人の通る音が聞こえる。


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