第六十九話 悪役令嬢と占いの結末
お菓子を渡したあと、占い師が見えなくなるところで角に曲がった。
ふふ、完全に怪しいやつだ。でも、なんか物語の重要なキーを握るかのような登場にちょっとビビったわ。魔法使いの恰好してたけど、魔法使いは私なんだけどな。ってそんなことより、占いは信じないけど、最後のセリフだけは不安だから今日はこのへんで帰るか。
来た道を進むだけのため、学園まではそう時間はかからなかった。もともと、学園周辺には人が通ることはなく、来ても馬車が中心だ。
寮の近くまではなんの問題もなく来ることが出来た。寮の正面玄関には誰かが立っていた。遠くからのため確認は出来ないが、今の時間はまだ授業があるため生徒ではない可能性もある。しかし、誰かに会って脱走がバレてはいけない。あと、脱走の時も正面玄関からは出てない。裏に回ろうと急いでいた、その時に誰かがいるとは思わずに気づいた時にはぶつかっていた。
「きゃっ!」
「え!?」
やばい見知らぬ人に強く強打してしまった。と、一瞬考えていた。
「ツンデレ君!?」
「痛っ。え、つん?なに?」
やばい!心の声が漏れた!
「な、何でもありません!大丈夫ですか!?」
「お前、前を見て歩け。危ないだろうが。」
きゃー!ツンデレきたー!私の脳内では、危ないだろうが=お前が危ないだろうが、という意味にとるよ!って浮かれている場合じゃない!
「はっ!怪我してっ!」
「ちっ、違っ、これはお前のせいじゃない。」
「でも、血が出てる。」
ツンデレ君、いや、ナリクには膝から出血があった。重症ではないけど、少し引きずって歩いていたようだ。
「どうして保健室に行かないの?」
まだ授業中であることを思い出し聞いてしまった。
「別にお前には関係ない。」
一度は断っているが、上目遣いが困っているように見えたのか、ナリクは理由を話してくれた。
「今は実習時間なんだよ。保健室にはクラスのやつがいるから、たいした怪我じゃなし、寮に戻って処置しようとしただけだ。」
強がりだな~と思ってしまった。でもそこがいい。かわいい。ツンデレは正義。
「お前こそなんでここに?授業はどうした?」
「へ?あ、私は・・あ!このままはいけません!ちょっとついてきてください!」
話しを誤魔化そうと他のことに切り替えた。