第六十七話 悪役令嬢独走中
保健室にいけば、保険医である男性がいた。乙女ゲームベースだからか、男性多くないか?と心の中で考えていた。
「どうしましたか?」
保険医の男性が話しかけてきた。
「少し熱が、だんだん酷くなっているみたいで。」
「少し体温計りましょうか。寝ている生徒もいるので、とりあえずこの席に座って。」
「はい。」
体温を測ろうとしていると後ろから寝ている生徒であろう声が聞こえてきた。
「・・・先生、誰か来たの?」
「君ね、体調悪いんだから寝てなさい。」
「気持ち悪くて寝れない。あれ?君って・・。」
後ろから声がした。はいはい、知っている声ですね。こんなに邪魔が続くものなんですか?恐る恐る後ろを振り返るとガイ・ブルスタールがいた。
魔法で熱出しているとはいえ、本当に体調悪くなってきたよ。
「・・アリミナールも体調悪いの?」
「ガイ様。私は熱があって・・。」
一体何人が私の脱走計画の邪魔をしてくる気なんだ。1日くらい悪役令嬢休んでも罰は当たらないぞ。
「38℃あるね。アリミナールさん、寮でお休みになったほうがいい。寮母さんに様子を見ていただくように伝えておきます。」
「はい。」
「アリミナール、元気だったら送っていくのに・・ごめん。」
「ガイ様もお大事に。」
寮に向けて一直線に帰っていくアリミナール。計画はこれからだというように身構えている。まずは学園寮には寮母さんが存在する。金持ちな王族とかはメイドさんや執事なるものを連れてくることもあるが、自立を促す校則が多いため連れてこないことが多い。学園ものの脇役が増えるからね。とかゲーム事情をつっこんでみる。寮母さんは基本優しい設定だ。体調の悪いとはいえ、しばらく休みたいからといえば、夕食時間くらいまではほっといてくれる。それはリリーダに確認済みである。余所行きの恰好に着替え、事前に用意したあるものを置いていく、そして寮から抜けるのは簡単だった。大事なのは、学園から外に出る方法だ。正門や裏門、あとリリーダが壊した壁には見張りが存在するのだ。しかし、私は魔法の特異体質であり、さらに魔法を極めてしまった。学園のこの無駄に高い塀を上ることは容易だ。火の魔法で人体には影響がなく、なおかつ階段のようにひとつひとつ土台を作り、高い壁をクリアした。近くの町に行くには徒歩だと1時間ほどかかってしまう。しかし、それもまた脱走の醍醐味だと考えているため迷わず歩き出した。
「あ~冒険者の気分。」