第六十一話 リリーダちゃんは独り占めしたい
「な、なにが起きているの?」
それは、リリーダが風邪で寝込んだ後のこと。リリーダは自分のクラスの名前を覚えない。しかし、アリミナールがいるクラスは把握済みである。アリミナールと一緒に歩けば誰も話しかけて来なかったはずなのに、なぜか廊下でもアリミナールに声をかけてくるではないか。そして、なぜか餌付けされている。来るもの拒まず精神のアリミナールは、もらったお菓子をその人の手から躊躇することなく食べている。
「アリミナール様!いけません!」
「ふぇ!?」
子供を叱るように怒ってしまった。驚くアリミナール様かわいいと思ってしまう。
「知らない人からお菓子をもらうなんて。」
「知ってる人だよ?」
「それでも、う、かわいいから許します!」
「えっとね、リリーダちゃんがいなくて、この前は寂しかった。そしたら、クラスの女の子たちからお菓子をもらったの。周りにも寂しいのわかっちゃったのかな?」
「ふぇぇぇ!アリミナール様~!」
ギュッツと抱きしめる。どうしてこの人は欲しい言葉をくれるんだろう。でもでも、こんなに人が群がってくるなんて、アリミナール様一体私がいない間になにしたんだろう?
食堂に向かうため、いつものようにアリミナール様を迎えに行った時だった。アリミナール様が何やら男性とお話している。
「アリミナール!」
「ガイ様、ずいぶん遅かったですね?」
「・・何度も会いに行こうとした。でも会えなかった。なんで?」
「知りません。」
「やっと会えたよ。こんなに嬉しいことはない。」
そう言ってその男はアリミナール様に抱き着いていた。
「ちょっと!あなた何しているの!?」
リリーダは思わず駆け出して叫んでいた。
それに驚いたのか、男はアリミナール様から離れた。だが、リリーダのほうを睨み付けている。
「アリミナール様、大丈夫ですか?」
「リリーダちゃん。どうしたの?」
「この男誰ですか?消しますか?」
「そんなこと言っちゃダメ!この人ジェット国の王子様だから!」
「アリミナール、こいつ誰?」
「友達のリリーダちゃんです。」
「・・・友達は俺だけでいいじゃん。」
「ガイ様・・。あの。」
何か言おうとしているのはわかっていたが、アリミナール様の制服の袖を掴んでしまった。
「リリーダちゃん、行こうか。ガイ様、申し訳ありません失礼しますね。ではまた。」
「ごめんなさい、アリミナール様。」
アリミナール様は私の手を握って歩いてくれた。