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第六十話 弟王子様の小さな青春

食堂へ向かうアリミナールはとても上機嫌だ。そんな上機嫌なアリミナールは、とても笑顔である。食堂へ向かう途中、目の前にケイン・アンジャードルタが現れても笑顔であった。


「アリー、良かった。ずっと話したいと思ってたんだよ?僕のこと忘れてないよね?」

「ケイン様、お久しぶりです。」

「嬉しいよ。なんだか、今日は元気だね?何かいいことでもあったの?」

「はい。私は今機嫌がいいんです。」

「そうか。良かったらこのまま食事を一緒に・・。」

「ケイン様、これどうぞ!」

そう言って機嫌の良い私は、迷うことなくクッキーをケインの口元に運ぶ。先ほどは無理やり誰かさんの口の中に入れたが、ケインが拒むことはないと思ってそうした行動に出た。

案の定、ケインは差し出されたクッキーを躊躇することなく食べてくれる。

「美味しい。」

さらに上機嫌になるアリミナール。爆発実験が無駄にならなくて良かったと安心している。

「友人を待たせているので。」

そう言ってアリミナールは一人で食堂に向かった。放心状態のケインを置いて。


置いていかれたケインは赤面して手で口を覆っていた。しばらくその場から動けなかった。


食堂内を見渡しているとリリーダを見つけた。

「アリミナール様!遅かったですね。」

「お待たせ。これ、一緒に食べようと思って。」

「これなんですか?」

「爆発実験で出来たものよ!」

「はぁ。では頂きます。・・・えっと、アリミナール様。」

「ふふふ、いいのよ、リリーダちゃん。」

「・・はい。味がないクッキーみたいです。」

「あはははっ!リリーダちゃんの正直なところ大好き!」

リリーダはなにがおかしいのだろうと困り顔である。しかし、アリミナールは上機嫌だ。アリミナールは知っていた。爆発実験で作ったクッキーがなんとか形になったのはいいが、美味しくない。吹き出すほどまずくはないが、味のないものって美味しくないよね。不味いよね。でも、なぜアリミナールが上機嫌かというと、ナリクやケインは恐らく手作りと気づいて、アリミナールを傷つけないようにと嘘を言ってくれた。その優しさに喜んでいた。まさか、こんなことで自分が喜ぶとは思わなかった。不安ばかりの学園生活だと思ったが、こんなに楽しい出来事があるとは。少しぐらいなら攻略対象者にも優しくしようかなと思ってしまった。


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