第五十話 イベントは複数存在します
学園に慣れず、一人で昼食をとる主人公に優しく声をかけるのはもちろん、王道の美少年グランだ。ゲームをプレイしていた私も何度熱い視線を送ったことか。
それが、夢の出会いじゃないかな?私間違ってる?
たしかにイベントは存在している。しかしどうだろう、あの二人不機嫌にしかみえない。さっきまでグランには、美少年具合が成長したなと感心していたのだが。影から二人を見守っている私には話の内容は入ってこない。これは、ゲームのストーリーを軸に感情は変化してると考えていいのだろうか?
そのままリリーダを影から追いかけていく。
きた!今度はケインルートのイベント発生。
主人公が誤って転んだところを優しいケインが手をさしのべる。この時ばかりは兄大好き設定を忘れてカッコいいと思ったよ。
うん。イベントは存在している。でもあの二人一切目を合わせていないように感じるのは気のせい?
主人公が誰かは知らなかった子供の頃に、二人にはイベント発生についても詳しく話さなかった。ただ、好きな人できるからその時がくればわかるとか言った覚えはある。
だから二人はリリーダが主人公って知らないはずなのになんでこうも不穏な空気が?寮に戻ったらリリーダに詳しく内容を確認しないと。
「アリミナール様~!!」
「うっ、リリーダちゃん。」
寮の扉を開ければリリーダが飛びついてきた。
「もう~今日は絶対に話しかけるなっていうから私怒ってるんですよ?」
「もしかしてそれで今日は1日不機嫌だったとか言わない?」
「誰の話も入ってきませんでした!なんだか知らない人に関わることが多くて。」
あ~私のせいでリリーダの今後のイベント発生に支障をきたしたなら、ごめんなさいって言わせて。かなり展開が怖い。
「教えてほしいの、この5人の中で今日会った人はいる?」
用紙に名前を書いてリリーダに見せる。
「こいつと、こいつと、こいつですね!特にこいつはきら・・いえ。」
なるほど、グラン・ケイン・ガイが攻略対象者の可能性あり。でもイベント発生は失敗しているのでは?
「この3人はアリミナール様の知り合いですか?」
「まぁ、知り合いかな。」
「え!?ごめんなさい!この3人にひどいこと言ってしまいました。」
「大丈夫よ。」
うんうん。まだイベントはこれからだもんね。リリーダのかわいさと優しさには誰もかなわないよ。
「それより・・・アリミナール様聞きましたよ。」