第四十六話 ゲームをプレイしますか?
学園の名は【ライトストーリー学園】、ゲームが始まりの合図を告げる。
「アリミナール・ブラックレスです。」
私が自己紹介で言ったのはこの一言だった。何人かは短い自己紹介に疑問を抱いているようだ。
学園入学の3か月前。
その日は私、アリミナール・ブラックレスが6年間不在であった屋敷に戻った日であった。予想通り、お父様は大泣きで出迎えてくれる。部屋に戻るまでに声をかけてきた屋敷の使用人たちも、目に涙を浮かべているようだ。
すでに今後の学園生活における準備は、お父様が行ってくれていた。その日は慌ただしく、制服の採寸やら身の回りの物も子供の頃のものなので、すべて整理していくようだ。私は成長したが、やはり見た目が年齢と一致しないこの身長に、成長したと自分ではあまり実感できない。
帰ってきて一番に考えたことは、婚約者の有無だ。おそらくお父様から話があると考えていた。身の回りもひと段落した頃に、お父様の書斎に呼ばれた。
「帰ってきてすぐにこの話はどうかと思ったのだが・・。アリーも大人になった。婚約者を決めた。」
「はい。」
「嫌だとは言わないのか?」
「言ってほしいのですか?」
「うっ、すまん。」
「相手は誰なのですか?」
「それは・・・。」
朝、リリーダが笑顔で毎日起こしに来る。それが当たり前になり、アリミナールは慣れてしまっていた。その日は目覚めてもアリミナールの目には誰も映らなかった。
屋敷にアリミナールが戻り、やっと平穏になりつつあった。学園に行くことは決定事項で、準備もほとんど終了していた。
その日もお父様から書斎に来るようにと言われていた。扉を開け書斎に入ると、この屋敷にいない間、毎日みていた顔が揃っていた。ノイシー・キャラベルとリリーダ・キャラベルがいた。そのことに私は驚きを隠せないでいる。この屋敷に来たが最後、一生会えないのではないかと思っていたからだ。いつものリリーダの笑顔をみて安心してしまった。
「アリー、お世話になったこの二人から話したいことがあるようなんだ。」
お父様はそう言ってリリーダのほうに目を向ける。
「リリーダちゃん、また会えてうれしい。」
「アリミナール様、私もです!今日は報告があって来ました。決まるまではお父さんに言って、内緒にしてもらったんです。ライトストーリー学園に受かりました。一緒に学園に行けます!」
「えっ?」