第四十五話 信じたくない未来を信じて
「ガイ様、ご友人との時間を申し訳ありません。緊急でお伝えしたいことがあります。」
「・・まさか、あの子のこと?」
「はい。」
強面の警護の担当であろう男は、ジェット国の王子であるガイ・ブルスタールに急いで知らせを伝えにきた。友人たちが来ているため、部屋を出て知らせようと考えていたが、ガイがそれを止める。
「ケインとグランも一緒で大丈夫だ。アリミナールのことなのだろ?」
その部屋にはガイ、ケイン、グランが集まっていた。強面の警護人は3人に情報を伝え、その後部屋を出ていった。
「・・この国にいたのか。まさか、一緒にいるのがあのノイシー先生だとは。俺にも言わずにアリミナールを隠していたのか。」
「その先生のことは知りませんが、王子相手にも隠し通したのは的確な判断ですね。だってすでにアリーを攫おうとしたやつがいるんですから。」
ガイとグランは話し合っている。
「もう、アリミナールを探るのは止めましょう。」
「え、どうしてですか兄さま?」
「ゲンシュルタ国は化け物、ジェット国は守り神、ある国では戦争の兵器として利用することもあるそうです。僕たちが、いえ俺たちが探すことでアリミナールを危険に巻き込むなら、そんなことあってはならない。」
「そうですね。」
「そんな簡単に諦めるのか!」
ガイが叫んで訴えてきた。さすがに二人は驚いたようだが、説明してくれた。
「学園で必ず会える。」
「アリーは前に言っていました。僕たちと同じ学園に入るって。」
「そんなのわからないだろ?俺たちがみんな同じ学園になるってことか?あと6年はかかる。」
「子供の俺たちにできることは限られてる。アリミナールが会えるって言ったんだから、その言葉を信じる。会った時はみんなで、アリミナールが一言も言わずに俺たちの前から消えたことを怒ろう?」グランが言った。
「その言葉を信じて・・・いいんだよな。」
「ガイ・・。」
「会わない間に、アリミナールに変な虫が付かなきゃいいんだが。」
このガイの一言に、緊張感漂う部屋は一気に変化した。
「アリーのことなので、友達も作らないんじゃないですか?」
「俺たちと友達にならないのに、他に友達を作るなんてこと許さないよな?」
美少年は不敵に嗤う。
月日は流れる、運命が彼らを誘う。
その日は必ず来る。