第三十八話 嫌いなものと好きなもの
「ただ悪戯をするのは、ノイシー先生に怒られるのではないかと思いまして。これまでの魔法の上達を見てもらおうと思いました。そのために、リリーダちゃんにも協力してもらったのです。」
「アリミナールちゃんにも驚かされたけど、よく魔法嫌いのリリーダを巻き込めたね~。」
「私、魔法はやっぱり嫌いです。でも、アリミナール様のことは・・。だから、アリミナール様に教わって調整できるようになったんですよ!お父さんに水をかけるのって楽しいです!」
「あ~できればもう水を被りたくはないんだけど~。」
困った顔をしてはいるが、ノイシー先生は嬉しそうにしている。
夕食を3人で食べた後、リリーダは一人台所で片づけをしていた。テーブルではアリミナールとノイシーが二人で話していた。
「リリーダはね、特異体質と言ってもそんなに力が強いわけじゃないからね。普通より少し強いってだけ。この国では特異体質の人は守り神って言われて、人々から尊敬されてしまうんだけど、あの子は目立つことが嫌いで魔法も嫌いになってしまったんだ~。それに自分の父親が魔法のことばかり考えて生活を顧みないことも、嫌いな原因じゃないかなと思っているよ。だから、アリミナールちゃんには感謝しなきゃ~。」
「私は何もしてないですよ?リリーダちゃんと遊んだだけです。それに、リリーダちゃんが明日から宿の手伝いを少なくして、勉強にも参加したいって言ってました。」
「え!?本当に?」
「はい。」
「本当にびっくりだよ。もう魔法の勉強はアリミナールちゃんが教えたほうが上達するかもね~。」
「リリーダちゃん、すごく飲み込み早くて魔法上手でしたよ?」
「それはありえないよ~魔法が下手くそすぎていつも自分がずぶぬれになるんだよ~面白いよね~。」
「そうなんですか。では明日から私がリリーダちゃんの先生になります!ふふふ。」
「二人で何を話しているんですか?」
片づけを終えたリリーダが二人の元に近づいた。
「リリーダちゃん!明日からは一緒に魔法の勉強頑張りましょうね。」
「はい、アリミナール様。私、お父さんを倒せるように頑張ってうまくなります!」
作戦を考えてた時も思ったけど、リリーダちゃんはどうやらお父さんに恨みがあるようだ。こんな笑顔で言うくらいだから、本気ではないんだろうけど。自分からお父さんに攻撃したいと立候補してくれた。かわいいから許す。