第三十六話 悪戯は子供の嗜み①
「暇だ。」
アリミナールは、一人で部屋のベッドに横になっていた。ノイシー先生はお仕事の都合で本日家には誰もいない。いつもより少し遅い朝ごはんを食べようと階段を降りると、そこにはリリーダがいた。
「あぅ、あの、おはようございます。アリミナール様。」
「リリーダちゃん?」
父親である、ノイシー先生が不在のため当然のようにリリーダちゃんは姿を現さないと思っていたためアリミナールは驚いていた。
「嬉しい!リリーダちゃんは今日は来ないのかと思っていたの!こんなことならもっと早く起きていれば良かったわ。」
「そ、そんな、私のことは気にしないでくださ・・ひゃあ!」
思わずリリーダちゃんを抱きしめてしまった。これが女の子の反応ね、かわいいなぁ。いつもはノイシー先生が一人で自慢話をしてしまうから、今日はもっとリリーダちゃんと仲良くなるチャンスだなと考えていた。
「アリミナール様、?ゎぃぃ。」
「え?何か言った?」
「ふぇ、なんでもありません!」
相変わらず顔を真っ赤にしているリリーダの声はアリミナールの耳には届いていなかった。
「よかったら、先生からじゃなくてリリーダちゃん、あなたのことを知りたいです。」
「私ですか?私なんてつまらない話しかできませんよ。」
朝食を食べながら、それでもリリーダちゃんはゆっくりと自分のことについて話してくれることになった。アリミナールの私は静かに笑顔で話を聞いていた。
「実は、私はアリミナール様と同じ特異体質なんです。これは秘密にしていることなんですが。」
「そうなんですね。私は仲間ができたみたいで嬉しいです。」
「あ、アリミナール様・・。私も私も嬉しいです。アリミナール様は、無理にいろいろ聞きだそうとしないので、とても話しやすいです。」リリーダちゃんは真っ赤になりながら話している。私が男なら惚れてるよ。
「アリミナール様は今日はなにをするんですか?」
「今日は先生がいないので暇なんです。そうだ、よかったら一緒に遊びませんか?」
「はい!でも私何も遊ぶもの持ってきてないです・・。」
「実は私も何もないんです。困りましたね。」
「えっと、町の子たちはよく悪戯を考えていた気がします!」
「なるほど!それは楽しそうですね!ノイシー先生が帰ってくるまでに二人で作戦を考えませんか?」
二人の目が年相応に輝きだした瞬間だった。