第三十四話 かわいいあの子とその子
本日初めてノイシー先生の娘さんを発見できた。アリミナールはいつも伝えたかったことが伝えられたため機嫌がいい。それにしても、前髪が長くて目が見れなかったけど、きっとかわいい子だったと思う。食事を用意して、油断している時を狙ったのは正解だったようだ。
「アリミナールちゃん、なんだか嬉しそうだね~?」
「はい。」
「リリーダに会ったの~?」
「リリーダさん?」
「娘の名前~。」
「会いました!」
「とうとう会えたんだね~よかったね~。」
「はい!」
それにしても、ノイシー先生は娘が嫌がっていたのに良かったって言ってくるなんて、ドSなのか?どうせ、私が娘と会おうと努力していたことも知ってるのだろう。なんだか心の中を見透かされているような気もする。
「リリーダは君のことを気に入っているみたいだから、仲良くしてあげてね~。」
「え、ダメですよ。私なんて友達もいないような人間なので。」
「そうなのかい~?ちょっと意外だな~でも、リリーダも友達少ないからさ。お互い様ってことで、ここにいる間だけでもね?」
「えっと、わかりました。」
昼食時間前になり、「はい捕まえた~。」の一言で自分の娘の襟首を掴んでいるノイシー先生の姿があった。私はそこに近づいた。
「はじめまして、リリーダちゃん。今日の朝はごめんね?」
「ふえぇぇ!?」
「よかったら、まずは一緒に食事をしませんか?」
「ふえぇぇ!?」
「ふふ、私はアリミナールです。」
「ふぁ、ふぁい!あ、アリミナール様。」
顔を真っ赤にしてリリーダ・キャラベルは答えている。前髪で目は見えないが、どうやらノイシー先生の言う通り、嫌われてはいないようだ。しどろもどろに答えるリリーダに、アリミナールは楽しくなっていた。同年代の女の子の友達はいないので、学園とまったく関係のない女の子なら友達になれるのではないだろうかと思ってきた。
「リリーダはね~親戚のところが宿屋だから料理を学んでいるんだよ~。まだ10歳なのに料理完璧って、もうお嫁に出しても困らないね~。おとなしい性格してるけど~実は明るい性格してて~前向きなところがいいところなんだよね~あはは。」
食事中の会話はすべてノイシー先生が喋っている。娘自慢をされているのかリリーダは終始真っ赤な顔で下をみている。アリミナールの私は笑顔でその話を聞く。実はノイシー先生も親ばかだったのかと納得していた。