第三十二話 休みの日は全力で
なんと、魔法勉強も1か月となってきました。時々休みをもらうが、何もすることがない。ノイシー先生には町に出かけてもいいと言われているが、先生同伴となるため申し訳ないので行かないことにしている。そんなアリミナールの私は決意を固めた。
「ノイシー先生の娘さんの姿を陰で見守ってみよう。」
未だ先生の娘さんとは鉢合わせもなく過ごしている。さすがに不審になりつつあるので、姿だけでも陰で覗こうという魂胆に至った。チャンスは食事の3回のみ。
朝早く、いつも起きる時間には食事があるため早く目覚めてみた。階段をゆっくりと音が出ないように歩く。驚かせてはいけないので、慎重に。ひょこっと顔を覗いてみたが、そこにはいつもの光景。朝ごはんが用意されている・・・。台所を覗くが誰もいない。そんな訳で朝ごはんをいただくことにした。
昼前、少し頭を働かせて台所に潜んでみる。覗けるくらいの戸を開けて待ってみる。待ってみる。待ってみる。いつものお昼時間のころ合いに食べ物の匂いがした。台所を見回すが誰もいない。ゆっくりと扉から出て食事のテーブルをみるとやはり食事が用意されていた。そんな訳でお昼ご飯をいただくことにした。
夕ご飯前、今度こそと躍起になり、もう潔く食事のテーブルに座って待ってみることにした。座って待ってみる。座って待ってみる。時間になり、食事の匂いがしてきた。急いで台所をみると食事が用意されていた。しかし、そこには誰もいない。
ノイシー先生がそこにやってきた。
「あ~お腹すいた~。アリミナールちゃん、ずいぶん楽しそうだね~。」
私のしていたことがわかっているのか知らないが、面白そうなものを見る目でこちらを伺っている。
「・・・楽しいっ!」
私は笑顔になり、ポロリとその言葉が出てしまった。
とある木造の台所に二人がいた。一人は片づけをし、一人は片づけを見守っている。
「今日は大変だったね~あの子はとても楽しそうだったよ~。」
「うっ、ひどい。お父さん、私本当にひやひやしたんだよ。」
「ん~楽しんでると思ったけど違うの?」
「ちっ、ちがっ!楽しくなんかないもん。」
「うそつきだな~顔に書いてあるよ~。」
「そ、そんなことないもん。」
「あっそ~まぁ今日は隠れて遅くなったんだから、ここに泊まりなさい、リリーダ。」
「うっ、そうします。」女の子はそう答えていた。