第三十一話 おっと、手がすべりました
「1週間も机と睨めっこで大変だったでしょ~?そろそろ実践、やってみよ~!」
「勉強というより、絵本を読んでもらった記憶しかありません。魔法できますかね?」
「あはは~大丈夫!そんなの適当だよ~。ここら一帯は誰も使用しないし、魔法訓練用によく使われていたみたいで誰も近寄らないんだ。呪われてるって言われているよ~。」
「今更そんな話を!?けがをさせる心配がないのは嬉しいですが、呪いは・・。」
「まぁまぁ、じゃあまずは少しだけ魔法を出す練習から!最大出力でも問題ないからね。」
「はぁ~。」
溜息をつかずにはいられなかった。さて、心で念じるってことはなんとなくわかったのでとりあえず、やってみた。
「まずは小さく。」
こオオっ。
「あれ~アリミナールちゃんやるね~拳大の加減でしかも安定してる~。教えることなさそ~次はだんだん大きくできる?できればゆっくり大きくする感じて。」
「だんだん、大きく」
こオオっ、こオオオっ、こおおおおっ、こおおおおおっ、ごおおおおおおっ。
ゆっくりと大きさを調節し、目の前の木を燃やしていく。
「よし、今止めてみて!」
「はい。」
「いや、うん、えっと、そうね、うん。もう何十回もやったからわかったよ。うん。なんか、どういえばいいかな~そう、何も教える必要がないみたいだね。」
アリミナールの額に汗が一粒落ちる。それはけっして熱いからではなく、このままだと屋敷に帰る羽目になるからだ。
「えっと、おおっと手が滑った~(棒読み)。」とりあえず5本ほどの木を燃やしてみた。
「ぐっ、ぶっあははははっはは。いや、アリミナールちゃん最高!そうだよね、まだまだ教えたりないよ!」
「ふふふ、そうですよね!私にはまだ魔法の勉強が必要みたいです!まだまだ出力があげられるみたいですし!」
「え~まだ全力じゃなかったんだ!ちょっと気になるけど、この森を出るときにでも全力みせてもらうよ~あははっ!本当にびっくりだよ、加減は普通に難しいはずだし、特に魔法を途中で止めるのが難解だと言われているんだよ~まさか全部できちゃうとは。」
「ノイシー先生の教え方が上手だからですね。」
「あは、そういうことにしとこう~。これからはもっと高度な練習を編み出すしかないね~。」
「頑張ります!」
そして本日の魔法勉強も終了した。危うく帰ることになりそうだったのは忘れよう。