第三話 見知らぬ美少年は敵
美少年と友達か、それはいいかもなぁ、って私のバカ。ゲーム内でのアリミナールのバッドエンドを忘れたか。そう、アリミナールのバッドエンドは死。4人の攻略対象者のうち3人がアリミナールの死へのバッドエンドへいざなってしまうのだ。ここは名残惜しいがお断りしよう。美少年と友達になってその顔を悲しませたくないし。
「ごめんなさい。お友達になるのはとても嬉しいけど、出来ないの。こんなにかわいいあなたを悲しませたくないの。」
「かわいいって言ってるよね。これは僕怒っていいところなんだよね?アリミナールが悪役なら、僕も一緒に悪役になるほうがいいのかな?それが友達かな?」
「あ、ごめんなさい。かわいい顔してるからつい。私は悪役にならないように今後のことを考えてみるわ。かわいいあなたはまず、悪役に向かないわ。」
「また、かわいいって言ってる!しかも2回。本当に怒るよ。あと、僕と友達になればアリミナールが悪役になることなんてないでしょ。ほら、僕かわいいから何しても怒られないし。」
かわいい顔して今黒いこと言った!と心の中で叫んだわたし。
「え~と、怒った顔もかわいいね。えへへ。じゃなくて、私は友達はいらないの。だってもしも悪役だったら友達は危険だもの。」
友達になる、ならないと言い合っているとメイドに声をかけられる。
「お嬢様、旦那様たちのお話が終わったようで、二人を呼ばれてましたよ。」
二人の言い合いを聞いていたのか、メイドは優しい顔で笑顔になっている。
「アリミナール、この話はまた今度しようね。」
美少年の今の笑顔は私でもわかる。また今度話すからここで待っていろよと脅しているに違いない。
お父様の書斎に着いてすぐ、父の影に隠れる私。
「アリミナール、楽しかったかい?」
のんきに聞いてくるお父様のなんと忌まわしいことか。
「かわいい顔して脅されました。彼とは友達になれそうもありません。」
お父様に笑顔でそう告げる。
「アリミナールとは友達になりました。今度会う約束もしたんですよ。」
天使のような笑顔で答える。くそ、美少年は得だな。
「二人とも仲よくなったみたいだね。将来は安心だ。そうだ、グランはアリミナール嬢と結婚でもするかい?」
一瞬時が止まった。あれ、聞いたことあるよ。うん、私はグランという名前を知っている。攻略対象キャラ、グラン・アンジャードルタ。
「絶対お断りです!」
「結婚もいいね。」