第二百二十九話 私に天使が舞い降りたかもしれない
それは、突然やってきた。
着飾ったドレスの裾を私よりも小さな手が握りしめてきたのです。
小さな手の持ち主は、アリミナールのよく知る人物の顔をしていました。しかし、よく知る人物とは一番違うことが一つだけありました。それは、天使のほほ笑みを向けてくれるのです。そう、ガイの小さい頃と同じ顔をして。
天使!
心の中のアリミナールは、ニヤニヤが止まりません。どうみてもガイの兄弟と思わしき容姿をしているため誰ですか?との質問もする必要がありません。そして、天使は笑顔でアリミナールに声をかけてきました。
「はじめましてぇ。ロイくんだよ?」
ぐはぁ!?あまりの可愛さに血反吐吐くかと思ったわ!まずい、このままではアリミナールというか私にショタコンというレッテルが貼られてしまうっ!
さすがの無口人形も、小さな少年の自己紹介を無視するわけにはいきません。
「初めまして、ロイ様。アリミナールと申します。」
小さな子には、営業スマイルで対応せねば。
「これあげりゅ。」
どこかのテーブルから持ってきたのであろうグラスを小さな少年に手渡されれば、誰だって飲むだろう。国の重要人物であるこの少年が毒など持ってくるはずもない。そう、毒ではなかった。
なんだろう。この薄い桃色の飲み物・・・とろみがあるわけではないのに、喉を通る感覚がすごく伝わって、のどごしが温かいような感覚。そして、前に飲んだことがあるような違和感。ポカポカするなぁ~。
変わらず少年は、アリミナールのことをニコニコ笑顔で見つめてくる。
変わらずアリミナールもニコニコ笑顔で対応してしまう。
え?あれ?なんだかとっても気分がいいなぁ~。この少年がガイの小さい頃にそっくりで癒されているからかな?それにしてもこの会場こんなに温かったかな?
飲み物を飲んだアリミナールの皮膚は、ポっ・ポっ・ポっとみるみる赤く変化していく。
自分の顔が赤くなってきたような感覚に気づいた私は、両手で顔を触るが特に熱さをあまり感じなかった。自分の違和感を気にしていたせいか、目の前にいたはずの天使な少年が目の前から忽然と消えていた。
「あれ?ロイ様?」
消えた少年を近くにいないか確認するが、どこにも見えなかった。
少年からもらったグラスを見て、不安になったアリミナールは匂いをくんくんしてみた。
あれ?なんだか独特な匂い・・・あれ?めまいがしてきた?もしや?もしかしなくてもこれはお酒ではないか!?まずいぞ?私ってお酒だめな人?あのショタお酒渡してきたの?どうしよう・・・くらくらしてきたんだけど!?




