第二百二十六話 人のこと言えないのが悔しい
「・・ケイン、アリミナールがおかしい。」
「・・・え?」
残されたケインとガイは、周りに聞こえないように小声でやりとりしていた。
「・・あと、友達になったがあまり嬉しくない・・・。」
「何か言ったか?」
「・・いや、何も。」
アリミナールは、グラン・ケインそれぞれにガイと同じような質問を行い、笑顔で対応していた。アリミナールがそれぞれに会話していた間、まるで誰かが操っているかのように3人の王子との会話に誰かの邪魔が入ることはなかった。しかし、アリミナールの会話が終了するとともに、お嬢様方に囲まれるようになった3人の王子から離れることとなった。
遠くから離れてその様子を見ていたノイシー先生は、その後すぐにアリミナールの行動を見ながら再度同じ場所に集合した。
アリミナールが淡々とガイ・グラン・ケインから聞いた内容を報告して、集中力が切れたかのようにアリミナールに生気が戻ってきた。
「ノイシー先生!」
「おはよう、アリミナールちゃん。」
「どういうつもりですか!?」
「何が~?」
捲し立てるように、矢継ぎ早にアリミナールがノイシー先生に訴えていた。
「娘の色恋沙汰に首を突っ込むなんて!」
あれ?それ私のことじゃないか?リリーダの恋路にいろいろやらかそうとしていたな。
「しかも、魔法まで使ってくるなんて!」
あれ?私も人の事言えないんじゃないか?呪いとかいろいろ考えていたような・・・。
ノイシー先生に言っている言葉を投げかけながら、自分のことにも当てはまることに少し不機嫌になった。
「あの方たちと友人になってしまったではないですか!私は、関係ありません!」
「あれ?小さい頃からの友達じゃなかった~?」
「それは誤解です!あの方たちの身分を考えてくださいよ。」
「ん~?アリミナールちゃんは、身分を気にする子だったかな?確か、王様相手にも物怖じしない子供だったよね?」
過去のアリミナールの行動を思い出すようにノイシー先生は考えるような姿勢で答えた。ノイシー先生が言った王様とはどの国のどの人物かは、今語ることではないため思い出さないように首を振るように忘れた振りをすることにする。
「その話は置いておいて。それで、ノイシー先生はどう思いましたか?」
「何が?」
「リリーダちゃんに何かあったと思ったから私を(魔法を)使ったのではないのですか?」
「ああ~。学園に入る前のあの子のことを考えるとやっぱり考え過ぎたのかもしれない~。話を聞く限り、何も感じないかな~。」
「どういう意味ですか?」
「リリーダは、常にアリミナールちゃんのことばかりだから~。恋愛にかまけているとは思えないかな~。」
「え?」




