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第二百十九話 この娘にこの親がいることについて

「あんなにアリミナール様の傍にいることをお約束していたのに、一時の感情でアリミナール様に嫌いだなんて言ってしまった。きっと・・・アリミナール様怒っているに違いないわ。」


自分の発言を思い出し何度アリミナールの名前を呼ぶのだと自分自身に照れてしまい、再度ソファーに頭を打ち付けていた。学園内でアリミナールと口を聞いていない時からこの行動は通常運転である。


「リリーダ、おまたせ。」

娘がソファーに頭を打ち付けていることを目の端で確認が取れている父親だが、その行動に疑問を浮かべることもなく笑顔でリリーダに近づいてきた。


「お父さん、どういうことなの?どうしてここにいるの?食堂の家に行った時に迎えがきてびっくりしたんだから。」

「あははっ。悪かったね~。言っただろう?仕事さ。これでも国務めだからね。」

「今更ですが、その国務めもよくわからないし。アリミナール様との逃亡も関係性がよくわからないです。でも、やっぱり国務めだと・・・極秘扱い?」

「まぁね~。本当は、リリーダをここに呼ぶ必要はあまりないのだけど、仕事が忙しくてね。これからやることがあって。ここに来てもらったのは、学園のことをお前の口から聞きたかったから。」

ヒョロヒョロの長身で物腰が柔らかいノイシー先生は、いつも笑顔を絶やさないはずの目の奥が光る。


「そんなこと言われても特に何もないよ?」

「アリミナールちゃんとはどうだ?お前の目的のために追いかけたんだろう?」

「・・・うん。」

あからさまに落ち込みを見せたリリーダを、不安な目でノイシー先生はのぞき込む。


「どうしたんだ?」

「・・・もう・・とある男性のことで頭がいっぱいで・・・何も考えられません。」

その言葉を発したリリーダは、下を俯いてしまった。

「っ!?」

その言葉を聞いたノイシー先生は驚きを隠そうともせずに硬直してしまった。


『え・・・?リリーダに男が・・・?』

その会話の後は、二人とも何を話していたのか覚えてないかのような曖昧な会話をしていた。


夏休暇中国が管理する建物に、ある日王族のものが来訪しノイシー先生は驚きとともに招待状を受け取った。その人物とリリーダは何やら言い争いをしていたようだが、放心状態のノイシー先生には、それが仲睦まじい姿だったのではないかとの疑心が晴れず、二人の親子の仲に微妙な距離感が出来たのは言うまでもない。



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