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第二百十三話 伝えるって難しい

おっと、オタクとしての自分が写真を収めたいという欲求に手が動いていた。誰か、盗撮できる方いませんか~?いませんね。

そもそも、なぜこの二人は私の目の前にいるのだろうか?私が悪役令嬢サボっているのと一緒で役割をサボっているのか?それとも、悪役令嬢としての役柄を考えるとこの二人は私の邪魔しに来たの?いや、まだ何もしてないし。この場を切りぬけるためにリリーダのことでなんか嫉妬しとくべき?


ケインのほうに目を向けて、アリミナールは深呼吸する。


いや待てよ。そもそもそんな行動したら、悪役令嬢としてバッドエンド!やはり発言には気を付けていかないと。そうか、この二人は攻略対象者ではないのかもしれない?今頃リリーダが誰か狙っている?と想定しよう。となると・・・この二人は何になるの?まさか・・・攻略対象者なのにやっぱりモブなの!?


「ああ・・・もうわかりません。」

思わず声に出てしまった。


「お二人は・・・何がしたいのですか?」

「ん?」

「私は・・・。あれ?どうしたいのでしょうか?」

自分の発言にも自信が持てなくなってしまった。

「え?」

「はぁ?」


「こんなところで油を売っている暇はありません!」

あれ?前にもこの言葉を言ったことなかったかな?

「なにが?」

暴走したアリミナールは止まらなかった。

「ほら!ここで私と無駄話をする前にやることがありますよね?」


「特にないけど。」

ケインが考えた素振りをしたが、すぐに答えてくる。ナリクのほうに至っては自分に対して言われていることにも気づいていない。

「・・・。」


私、何か勘違いしているのかな?


「・・・そう・・ですか。では・・・なんで生きているんですか?」

訳:攻略対象者が攻略されないで、どうして生活しているんですか?


「おい!失礼だな、死ねって言っているのか!?」

ナリクのほうからツッコミが飛んできた。本気で怒っている表情ではなかったが、アリミナールは後ずさりしてしまった。

「え!?違います。えっと・・・やっぱり口は災いの元!?もう今後いっさい喋りません!」

ばっ、と両手で口を塞ぎ二人から距離を取り始めた。逃げられると思ったのか、ケインが急いで聞いてくる。


「あ、待ってくれアリー!あのメイドとは友達なのか?」

ぶんぶんと首を振って否定する。


正直、スカート捲った相手に対して友達とか言ったら失礼だと思うと目を逸らしながら、心の中でアリミナールは答えた。



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