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第二百八話 優秀な使用人に対する扱いについて

「大丈夫ですか!?」

状況が飲み込めず、アリミナールはメイドさんの体を心配する。


「早くそいつから離れるのです!」

その声を聞いて振り返ると、メイドの主であるレイだった。

「どうしましたか?」

そのレイの後ろからひょっこりと顔を表したのはなぜかケインであった。メイドとの二人の姿を見たケインも睨みつけるようにメイドに視線を向けている。


メイドの体制を整えつつ、アリミナールは呆れながら声をかける。

「こんなに完璧なメイドさんに対して、この扱いはあまりに可哀想ですね?」

「いたたっ。おそらく、あなたの恰好のせいです。」

「あ!そうでした。」

やっとアリミナールが納得して、魔法を使用する。


ふわっ、と周りに温かい空気が広がる。最近の暑さを考えると、その生温い温かさが余計に暑くさせる。みるみるうちにアリミナールの服が元通りに乾き始める。


「あの・・・状況を説明させてください。」

アリミナールは、メイドを隠すようにレイとケインに説明を始めた。

「噴水の中に入って私が濡れてしまったのです。それを、この方に保健室まで連れてきて頂いて。」

「この子は!えっと・・。」

怒りだしたレイだが、言葉がつまり言い淀む。

「レイ様、申し訳ありませんが男であることはバレてしまいました。」

「やっぱり死刑ね!」

「待って!違うの!私が無理に暴いたというか・・。この方は、熱心にあなたと私が友人になるようにお願いしていただけなのです!」


ふむ。どうやって暴いたかというのは、スカート捲りましたとか言えないわね。いやグランには言ったけど、冗談だし。よし、ここは他の方法で攻め落とすか。


「私とレイ様では身分が違いすぎますし!グラン様とお知り合いということは、きっと私が化け物であるとの認識もあると思ってお断りしていたのです!」

「そんな!そんなこと思っていませんわ!」

「ええ。このメイドさんが熱心に私に言ってくれていたのです。だから、私もそんなことを気にせずにあなたとお話ししてみようと思えました。このメイドさんのおかげなのです。」

「まぁ!」


よし、お姫様はこれで納得したか。メイドさんのほうは、よくもそこまで嘘が言えるなという目でこちらを見ていないか?お前さんのためにうやむやにしているのだぞ?


「僕も化け物なんて思っていないが?」

不機嫌なケインが会話に入ってきた。


お願いだから、これ以上混乱させないで?



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