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第二百七話 メイドと悪役令嬢の恥の捨て合い

男の娘メイドの笑顔は萌えですね。リアルで見られる日が来るとは。しかも可愛い!


「失礼かもしれませんが、あなたはどこか不思議で。」


不思議ちゃんだと思われているの?


「グラン様にも気つけるようにと言われており。」


取って食われるとでも思ったの?


「レイ様は気に入っておられますが。(アリミナール様を)」


お姫様は女装がお好きなの?


アリミナールの顔には疑問が浮かび、なぜか二人の会話にずれが生じる。


「あの・・・。」

失礼過ぎたのかと不安になったメイドは言葉を詰まられる。

「どうぞ続けてください。どんなことにも驚きはしません。」

「はい。その、もしよろしければこのような自分が言うべきではないのですが、自分を気に入っていただけたなら、レイ様とご友人になって頂きたいのです!」

「あはっ、無理。あ、ごめんなさい!あなたのことではなくて、友人を作る気はないのです。」

「どうしてでしょうか?」


メイドさんは真剣に聞いてくれているようだ。でも、バッドエンドで死ぬかもしれないので、なるべく友人は作りたくないと言うわけにもいかない。ここは恥を忍んで。


「胸ですね!」

「え!?いや・・それは・・。」

メイドさんの顔が真っ赤になってしまった。悪いことをしたと思い、さらに罪の意識が出る。


「うっ、うっ、自分はスカートの中まで見られてしまったと言うのに。」

「あっ・・そうですよね。私ってば、なんて失礼なことを・・・。これは、何かお返しをしなくては・・。」

嘘泣きなのか、メイドがちらっとこちらを見ていることに気づいたが、気まずそうにアリミナールは考える。


「他にしてほしいこととか・・?」

「ないです!」

「ですよね・・・。ううっ、わかりました!たかが友達です!いいでしょう!」

「本当ですか!ありがとうございます!」

手を取りメイドは喜んでくれているようだ。


しかし、アリミナールはまだ濡れたままだった。手を握って喜ぶメイドのおかげで被っていたバスタオルが落ちてしまう。


ガチャガチャ。


「ですから、今はいないと言っていますでしょう!」

保健室の扉が開き、会話をしながら男女が入ってくる。

女性のほうがこちらを見て目を見開いていく。その素早い動きにメイドも対象人物を捉えたが、攻撃態勢は取らずに防御しながら飛ばされた。


「この!変態メイドがっ!」

こんな状況でなければ、あまりにも素晴らしいと好評すべきであろう回し蹴りが繰り広げられたのだ。

そのままメイドが少し飛ばされた。あまりの突然の出来事にアリミナールは、メイドのほうに足を向けて近寄ってしまった。



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