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第二百一話 帰宅=諦めたわけではありません

振り絞って喋った甲斐があり、二人の言い争いは止まった。

引っ張っていた二人の袖の端からアリミナールは手を離した。


声を出してから思ったのか、どう見ても高貴な二人に対しての言葉遣いを間違えたことに気づき、アリミナールは少し焦り出す。


喧嘩ダメとか、この注目されているクラスの中心で言う言葉じゃなかった!あわわっ、誰か怒っているかもしれない?


周りを見渡すと、近くにいる数人はこの言い争いに気づいて不安気な様子が窺える。


「・・・ごめんなさい。帰ります。」

「え!?」

お姫様のレイに驚かれたが、しゅんと落ち込んで、クラスから出て行くアリミナールを止めるものはいなかった。


残されたレイとグランはそのまま、クラスに残っていた。

グランは、一人アリミナールがこうもあっさりと帰る姿を訝しんでいた。


王族の二人に対する言葉使いを気にしていたが、クラスにいた周りの人たちの反応はアリミナールが考えていたこととは違った。 

「あのお二方が言い争っていたら、誰も止められない。」

「そうだな。」

「言い争いの理由はわからないが、あの小さい子に助けられた。」


クラスに残されたグランとレイは、言い争いをやめ他のことを話し始めた。


「グラン様、アリミナール・ブラックレスさんのお知り合いですの?」

「あっ、ああ。」

「グラン様のせいで帰ってしまいまので、責任を取ってあの子のことを教えてください!」


先ほどまでの険悪な空気を忘れたのか、レイは気にせずにグランにぐいぐいと聞いてくる。


「君はアリミナールのことを知っているのか?」

「何も知りません!お友達になることも断られてしまいましたわ!」

笑顔でグランの言葉に返事をしており、メイドは頭を抱えていた。


『それは、笑顔で言うことか?』


「アリミナールのことは話せない。他人に君のことを聞かれることと一緒だ。わかるだろう?」

「機密事項ということですね。理解はしました。でも・・・いえそうですわよね。それこそ本人に直接ということですわね!」


目を輝かせているレイを見て、グランは心の中で不安になっていた。

『アリミナールは一体何したんだ?』


教室を出たアリミナールは、そっと隠れるように移動する。


まさか、グランまで同じクラスだとは。さすが、悪役令嬢ポジションにいそうなお姫様だな。やっぱりこのゲーム世界で一番重要なのは、情報を持っていることだよね。情報不足だった。それにしてもなんで近づいたらダメなのかな?グランには関係のないことだと思うんだよね。



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