200話記念 入学式、あの子には届かない➀
ああ。ついに来てしまった。ここからは地獄の始まりなのだろう。
そんな私の思考は一瞬だった。
きょろきょろと辺りを見回して、体育館の中で始業式が始まるのを待っていた。1年生ということもあり、後ろから数えたほうが早い場所にいる。舞台までの距離があるせいで始業式が始まっても前は見えない。それは、アリミナールが低いせいでもあるのだが、ほとんど前の状況はわからない。
ぎゃー!もしやあれはツンデレ君じゃないかな!?いや、違うか。あっ!あれがツンデレ君!?じゅるり。おっと、私は人生の終焉を待っているのではなかっただろうか。いやでも、この場に初恋レディの登場人物が揃っていると思うと・・・幸せだ。いやいや、敵だから。みんな私の敵だから。バッドエンドが待ち受けないとしても、リリーダがいるのだから警戒はしないといけない。でも、でも・・ついにツンデレ君か。ふふふ、子供の頃に3人の攻略対象者と会っているとはいえ、きっと大きく素敵に成長しているのだろう。私の秘策で、なかなか会うことはないだろうけど、人生かかっているとはいえ楽しみなのは否定できない。ああっ、どうしよう。悔いを残さないためには好き勝手にやりたけど、リリーダの幸せは奪いたくないな。待て、待て、早まるな。私の人生若くして終わるなんておかしいだろう。シナリオ通りになんて動かないんだからね!私はアリミナールにはなっても、悪役令嬢にはならないんだから。いや、一瞬悪役令嬢やってもいいかもとか思ったとか・・・ない。うん。違うよ?リリーダのこと虐めようなんて少しも考えてないよ?・・・いや嘘です。ちょっと頭をよぎりました。よし、素直な私にはツンデレ君を見る権利をあげよう!なんてね!
悶々と頭の中で余計はことばかりアリミナールは考えていたが、そんなことを周りの誰かに悟られることはなかった。
グランは、生徒会長が壇上で長々と入学式の言葉を述べる中、きょろきょろと後ろのほうにいる1年生の生徒たちを見ていた。
『ここでは見えるわけはないか。』
1年生の集団の中に探し人がいるようだ。
ケインは、1年生の自分のクラスの中に整列していたが、生徒会長の話を聞かずにキョロキョロと他クラスのほうに視線を向けている。
『違う教室になってしまったか。どこにいるのだろうか。』
他クラスに探し人がいるようだ。
ガイも、1年生の自分のクラスの中に整列していたが、生徒会長の話を聞かずにキョロキョロと他クラスのほうに視線を向けている。
『この学園に来たことはわかっている。どこにいるんだ?』
それぞれが目的の人物を探して、交差する。




