第百八十二話 王子様とは友達になれない
「アリミナール・・・正直に答えてくれているのかもしれないが、俺たちは小さい頃からの友達だろう?」
どうしてか、グランが悲しそうに友達という言葉を使っていた気がする。
もしかして・・3人は・・友達にならなかったことを根に持っていたりするのか?心が広いのか狭いのかわからないな。
「友達・・・友達ですか・・。」
アリミナールは考えるように呟く。
友達という言葉を使って油断させて、好きにさせようとしているのか?物語が進まないのは、私が攻略対象者を好きにならないからではないかと思ったけど、私がバッドエンドじゃない選択肢があったよな。その選択肢には、私たちが友達という可能性があったとでもいうの?
両手をパチンと叩いた。
「でも、やっぱり王子様とは友達になれませんね!クロー君やナリク君ならともかく。」
結論、やっぱり悪役令嬢に王子様の友達なんて必要ないな。
「友達はしっかりと選んだ方が良いですよ?特に、グラン様やケイン様のお国では、私のような危険人物が友達だと知られれば、何を言われるかわかりません。あと、自分で自覚していることなのですが、私は性格が悪いです。子供の頃とは違って性格も変わっている可能性があります。あなた方に子供の頃の私がどのように見えていたかわかりませんが、簡単に人を信用することはお勧めできません。」
まるで王子様に説教をしている小さな少女の図が見えたことだろう。小さな少女は自分で自分のことを、いいことを言ったと自慢げにも見える。
「・・言いたいことがたくさんあり過ぎてなにから言えばよいのかわからない。まず、アリミナールは子供の頃からあまり変わってはいないと思う。」
頭を抱えたガイがまず答えた。
ケインやグランも口を開こうとしたのだが、それをアリミナールが止めた。
「待って、待って!もう私は行きます!皆さん、そろそろご自分の立場を理解したほうがいいですよ?大切な方や周りのためにも。誰もあの子を追いかけないのであれば、私が追いかけますので、失礼いたします!」
そう言って校庭に人が集まる前に、移動することにした。
残された王子様の3人は、まだその場に残っていた。
「・・・俺に何か言うことがあるんじゃないのか?」
ガイが一番に二人に対して話しかけた。
「何を言えばいいのかわからない。何かを知りたいのなら本人に聞くしかない。だが、そう簡単には近くにいさせてくれないだろうな。」
何かを考えるようにグランは答える。
「でも、何も出来ない子供の頃とは違って・・・今は同じ学園にいます。ガイだって、そう思うだろ?」
ケインの言葉を理解したのか、フンと言いながらもガイも何かを考えていた。




