第百七十九話 好きとかじゃないから
「泣いていた女の子を放っておくのですか?」
割と普通の疑問をアリミナールは3人に投げかけたつもりだった。
「・・・追いかける必要性を感じないのだが。」
「変態呼ばわりされて追いかけようとは思わない。」
「何に対する涙か考えると、アリミナールが追いかけるべきだと思うのだが。」
ガイ、ケイン、グランは各々感想を述べた。
そうだった。写真の二人を攻略対象者にしようにも、リリーダが変態扱いしていたのを忘れていた。私のせいかな・・・今後の攻略に支障が出るかも!?
「ごめんなさい。リリーダちゃんは、勘違いしているだけなので、怒らないであげてください。ほら、あの子は素直で優しい子ですし!」
『『『アリミナール(アリー)にはそう見えているのか?』』』
3人の心が繋がった。そして、アリミナール本人から見えているリリーダ像に、それぞれ不信感を抱く目を向けていた。
「それより、あの写真はどうしてアリミナールが持っていたんだ?」
グランが話を戻すと、ケインとガイの動きが止まった。
「あれは・・・。」
アリミナールが写真について思い出していた。
まずいな。リリーダと一緒で勘違いされても困る。正直に、可愛いから大切に保管していましたなんて言えない。ああ・・勝手に顔が熱くなるよ。
かあぁぁっ。と火照った顔をしながらもアリミナールは恥ずかしそうに話す。
「えっと、大切に保管していたとかじゃありませんから!勘違いしないでくださいね!ほら、王族の方の写真を持っているなんて・・それだけで責任重大ですから!」
「誰にもらったんだい?」
さらに笑顔を崩すことなくグランが質問してくる。
「本人たちからです!別に欲しいなんて言っていませんよ!くれると言うので・・。」
「ほぉ~。アリミナールは、そんなにケインとガイの写真を大切に保管していたのか~。どうして?」
「大切に保管だなんて・・。違いますよ?ほら、だって私の写真を不正に持っているじゃないですか!そのための担保というか・・なんというか・・。」
「それだと、二人だけじゃなく俺も対象になるが写真が必要だったか?」
「え!?グラン様もくれるのですか?」
アリミナールは、目をキラキラと輝かせていたが瞬時に現実に戻る。
「あ、いや。別に欲しいなんて思っていませんから!違うのです!」
なにかと葛藤するアリミナール。
そんなアリミナールを見て、グランは少し安心した表情になる。




