第百七十八話 限定グッズは二度と手に入らない
私、悪役令嬢アリミナール・ブラックレスは唯一の友人を失いました。あと、非売品の限定写真が粉々に散っていきました。
もう友人を失ったことが悲しいのか、限定グッズがなくなったことが悲しいのかわかりません。
「結局、どちらが本命なのかもわからない・・・。」
「で、アリミナール?本命とは?」
笑顔で語りかけてくるグランだが、その目は笑っていない。
「好き・・・なのでしょうか?」
どきりと3人が反応していたが、何事もなくアリミナールは話を続ける。
「どこの世界でも、オタクって嫌われるのでしょうか?限定グッズに弱いばかりに唯一の友人に嫌われてしまいました。絶望的に死にたい。」
アリミナールの言葉の意味を理解することは出来ないが、ケインが止めに入る。
「死んだらダメだ!誰に殺さるのかも話してくれないし、よくわからないけどそんなこという物じゃない。」
「殺され・・・?なんですか、それ?」
「え?アリーが言ったことじゃないか。死ぬって!」
真剣に話すケインとは裏腹にアリミナールは疑問しか浮かばない。
「・・・。言っていませんが。」
「なっ!アリミナール、じゃあ子供の頃に話してくれたことはどういう意味なんだ!?」
グランも驚きの表情を隠せない。ガイのみ疑問の表情しかしていない。
「子供の頃・・・殺されるなんて一言も言っていません。」
ケインとグランの迫る勢いに押されてアリミナールは話してしまう。
「じゃあ!なんで死ぬなんて!」
「え・・っと・・。」
ここにきてアリミナールは、小さい頃の軽率な行動でゲームのネタバレを話してしまったことに再度後悔している。
あれ?私、ゲームのことどこまで話したかな~?詳細については言ってないはず!まさか、大きくなっても覚えているとは。
「子供の頃のことなんて覚えていませんね!なんのことでしょうか?」
焦って誰にでも嘘だとばれるように目を逸らす。そして、話を切り替える。
「それより!どうしてまだここにいるのですか!?」
キョトンとしている王子3人に、アリミナールも訳が分からない。
え・・・だって主人公が泣いて走って行ったんだよ?こういう時って攻略対象者が追いかけるのが正解じゃないの?悪役令嬢とここに残ってお話ししていることのほうがおかしいよね?私間違ってないよね?




