第百七十五話 時間を巻き戻すことが出来たなら
「・・リリーダちゃん?」
アリミナールが、目の前に現れたリリーダを見て泣きそうな声で名前を呼んだ。
「アリミナール様に何をしていたのですか!?こっ・・この変態!」
「ぶっ!?リリーダちゃん!?」
ケイン、ガイが取り囲んでいた中からリリーダはアリミナールの腕を掴んで強引に引き抜いた。
あまりの衝撃発言に周りも混乱していた。王子二人は、今までそんな台詞を言われ慣れていないため、即座に否定もしていなかった。そして、状況も理解していなかった。
追いかけてきたのか、2枚の用紙を持ったグランも現れた。
「あれ?何しているんだ?」
遅れてきたグランも状況を理解できずにいた。
「ちょっ!リリーダちゃん待って!今の言葉はケイン様とガイ様に言ったの!?」
強引にアリミナールの腕を掴んで、連れて行こうとするので制止して質問する。
「そうです!」
「うぇえ!?なんてこと言うのですか!すぐに訂正と謝罪を!」
「必要ありません!」
なぜかご立腹のリリーダは、なおもアリミナールを連れて行こうとする。
「待って、待って!何が起きているのかわかりません!」
連れて行こうとした足を止めて、リリーダはアリミナールの両手を強く握りしめた。
「だってアリミナール様泣いています!さっき叫び声が聞こえたんです!そしたら、この変態二人がアリミナール様を取り囲んでいましたっ!許せません!」
ぐはっ。勘違いが大変なことになっている。これは私の選択ミスなのかな・・?
「ちっ違います!泣いてなんていません、ただちょっと・・・。泣いてません!ケイン様とガイ様は心配してくださっただけです!」
「なんだかわからないが、二人は物凄い勘違いをされて変態と呼ばれたのか・・。」
笑いを堪えるようにグランが内容を整理していた。
「兄さん・・。」
「・・グラン、笑うところじゃないだろ。」
二人は怒るよりもグランの発言に呆れていた。
「では誰がアリミナール様をこんなに悲しませたのですか!?」
「え・・・違うんだよ!?悲しいとかじゃなくて!自分の行動を後悔しているというか!誰でも過ちというものはあると思うの!」
「過ち?」
ゆっくりとアリミナールはリリーダと距離を取り、グランに近づいた。
持っている2枚の紙を何も言わず奪い取った。




