第十七話 油断大敵
どのくらいケイン・アンジャードルタは、グラン・アンジャードルタについて語っていただろうか。それは突然に終了となった。
「グラン様、ケイン様、ガイ様、お時間となりました。」
メイドが時間になり彼らを呼びに来た。屋敷では2時間以上が経過していたようだ。
「それじゃあ、アリミナールまた来るね。」
「アリー今日もありがとう。」
「グラン様、ケイン様、気を付けてお帰りください。」
ガイは二人に続き、席を立ちアリミナールの前に現れた。
「今日は無理なお願いをありがとう。」
「・・。ガイ様、本日はお越しいただきありがとうございました。」
ニコリと笑顔を向ける。ガイはすぐに目を逸らしてしまったが、すぐにアリミナールの視線に戻した。
「あの・・・また、遊びに来てもいいか?」
「はい。またいらしてください。」
「あ・・そうか。また近いうちに、連絡するな。」
ガイ様って本当にシャイな人だよなぁ~はじめこそ警戒してたけど、一番安全な攻略対象者だと思うな、とアリミナールは考えていた。
『兄さま!次の約束を取り付けてますよ!』
『油断させられたな。これは作戦だったのか!?』
二人の心の声は通じていた。
帰宅の際、馬車の中ではケインとガイが向かい合って一緒に過ごしていた。あまり話していなかったガイとアリミナールのことが気になり、ケインは聞いてみることにした。
「ねぇ、ガイは何がしたかったの?」
「ん?ケインはいつも兄であるグランのことしか話さないだろ?あの子について何も教えてくれないなんて、気にならないほうがおかしいと思う。」窓の向こうを見ながら答えた。
「それだけなの?」
「・・・。あの子俺に似ているよな。」
「そうかな?」
「ああ。」
本当にガイって何考えているかわからないよな。優しいのはわかるんだけど、もう少し表情でないかな。それに、僕がアリーのこと話さなかっただけで、こんな行動にでるかな?
「ねぇ、なんでまた会う約束したの?」
「え、えっと、それはだな、ほらケインと友達ってことは俺とも友達、みたいな?」ガイは身振り手振りで慌てている。
「ふ~ん。」訝しむような表情になるケイン。
なんでこんなに気になるんだろう。ガイとアリーはあんまり仲良くなってほしくないな。