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第百六十六話 試験の朝に

『今日はとっても大切な日です。いつもなら、何も考えず登校しますが、今日の私はひと味違います。』


早朝の時間、女子寮で一番に起きる人物がいた。

すでに入手している、とある部屋の鍵をゆっくりと回す。その時は、慎重に行動し当人を起こすことは禁忌である。

『今日もアリミナール様は素敵です。』


まだ眠っているアリミナールの頬をツンツンと触るリリーダの姿があった。


『あの二人との約束もあります。今回の試験だけは負けられません。』


勉強会でのひと時・・・

「短時間で厳しく教えていくよ。その変わり、今度の試験で・・そうだな~上位20位以内に入れた時、君にあるものをあげよう。僕は効率の悪いことは勉強だろうと嫌いだから。」

ケインが、リリーダに対して提示してきた。


「あるものってなんですか?」

「なんでもさ。」

「なんでもですか?」

「君の傾向は把握した。そうだな・・・例えば、アリーといつも一緒というわけにはいかないよね?夏休暇は特に、自宅に戻るものが多いだろう。アリーだってそうだろうね。」

「何が言いたいのですか?」

「唯一アリーと正式に会う方法を教えてあげるよ。アリーのあの父親では、屋敷の外に出すことはほぼない。でも、正式なパーティーではどうだろう?特に階級の高い僕らの誘いは、どんなことがあろうと断ることは難しい。」

「でも、私は・・・。」

「招待さえされれば・・・ね?これくらいのこと、叶えてあげるよ。ただし、20位以内だ。」

「1位でも取れる自信ありますっ!」


『なぜこんな条件を提示してきたかは謎ですが、アリミナール様との時間が増えるのは喜ばしいことです。これまでになく勉強に励んできました。そして、今日はこのお守りがあれば私はなんでもできるのです!』


そうしてリリーダはぎゅっと写真を握りしめる。


いつものようにアリミナールを起こそうと、声をかけようとしたが開こうとした口が止まる。


『今日は、祈願のためにアリミナール様の使用している筆をお借りして・・ああそんなことしては・・でも今日は大切な日ですし・・。あら?』


リリーダは、机に並べられた教科書たちの中からはみ出している用紙を見つけた。


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