表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
165/246

第百六十五話 ずる賢い悪役令嬢は大人の扱いに慣れている

教師とナリクだけは、アリミナールの涙に反応していた。教師は慌てて説教の収集に入り、急いで終了させようとした。


パタン。


即座に職員室から3人は追い出された。そして、タイミングよく授業終了の音が響き渡る。


「やりましたね、さすがアリミナール様です!」

涙を抑えているアリミナールに対して、そんなことを言うリリーダは笑顔であった。

「ふっふっふっ。この見た目の私に勝てる大人なんて存在しません!リリーダちゃんのおかげで怒られることには慣れていますから。」

二人で笑い合っていた。

「お前らな・・・。」

二人の内容を理解したのか、ナリクは溜息をつき、少し口角を上げた。二人はそれに気づくことはなかった。


「ナリク君、ありがとうございます。」

「は?」

涙をハンカチで拭ってアリミナールは伝える。

「一緒に怒られてくれたじゃないですか。」

「はぁ?別に、お前らのためじゃない。説明が面倒だっただけだ。」

ツンしか出ていないナリクを、温かい目をして見守る。

「お礼に、リリーダちゃん手作りのこちらをどうぞ!」

本人に相談もなく、突然の切り出しだった。

「え?ああ、いいですよ。」

特に拒否をすることもなくリリーダは自分が作ったカップケーキをナリクの前に差し出した。

「いらない。」

それを真顔で拒否した。


「え!?リリーダちゃんの手作りですよ!?」

「だからなんだよ!?甘いのは苦手なんだよ。」


まさかのナリクの新情報!?そんな設定はなかった。じゃあ、ゲームの中では苦手なものを無理して食べてたのかな~。それもまたいい。


「礼っていうなら、ほらっ。」

無造作に、カップケーキが入った袋を一つ渡してきた。

「後で感想聞かせろ。」

そう言い残して、一人で歩きだしてしまった。


ナリクが見えなくなると、リリーダが口を開いた。

「なんですか、あれ?」

「う~ん。遠回しにリリーダちゃんにこれを食べてほしいってことかな?だから、ナリク君の手作りではないでしょうか?」

驚いた顔をしてリリーダはアリミナールを見つめる。

「アリミナール様のそういうところ・・嫌いじゃないです。ずっとそのままでいてください。」

「ツンデレの考えなんてわかりませんからね~。」

アリミナールの言動に、隣ではてなマークを浮かべていたがすぐに切り替えられた。

「さぁ、寮に戻って勉強の続きです!」

「はい!あ、これはやっぱりアリミナール様に!」

アリミナールの手には、もう一つカップケーキが増える。

「・・・勉強は出来ても、この状況に理解が追いつきません。」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ